1969年(昭和44年)
ビック・トピックス
- いざなぎ景気4年目(実質経済成長率12.0%)
- アポロ11号が人類初の月面着陸に成功
- 日米繊維交渉始まる、業界は反対
- 合繊の用途別開発が始まる
- パンタロンスーツ流行、ロンゲット台頭
生活・文化
- 政府が国鉄の旅客運賃15%値上げを決定
- 東大当局と学生代表が団交、学長代理が「確認書」に署名
- ソ連のソユーズ4号と5号が初めて地球軌道上でドッキングし、乗員の移動に成功
- 機動隊が東大安田講堂の封鎖解除に出動。翌日封鎖解除、631人逮捕
- 東大の1969年度入学試験の中止が確定
- 京都大学生部の封鎖を大学当局と日共系学生が協力して実力解除(いわゆる「京大方式」)
- 美濃部都知事が都営ギャンブル廃止を発表
- 厚生省と靖国神社宮司の会合で、「法務死没者」のA級戦犯12名と内地未決死没者10名の合祀は可能と確認
- 「いのちを守る県民共闘会議」(沖縄)がB52撤去を要求して決起大会開催
- 日大が機動隊を導入して全学の封鎖を解除
- 東京・新宿西口地下広場で反戦フォーク集会が始まる(多い時には7000人もの若者たちが集まった)
- 東京に大雪、積雪30cm(新記録)
- ベネズエラ航空機DC-9がマラカイボ郊外の人口密集地に墜落炎上して155人の死者を出した(飛行機事故としては最悪記録)
- ビートルズのジョンとオノ・ヨーコがスペインで結婚式
- ベトナム戦争やビアフラの飢餓状態に抗議してパリの女学生フランシーヌ・ルコントが焼身自殺(歌「フランシーヌの場合は」)
- 交通遺児育英会設立
- 大阪の市電廃止
- 警視庁が連続ピストル射殺事件の被疑者永山則夫を逮捕
- 青木茂らを中心とする全国サラリーマン同盟結成
- 皇太子妃が女子を出産。紀宮清子(のりのみやさやこ)と命名
- 国鉄の1等車がグリーン車になり、グリーン料金設定
- 警視庁、新宿西口のフォーク集会を禁止(西口広場は道路であり、道路交通法違反になるとの見解)
- 食糧管理法改正(自主流通米制度)
- 電電公社(現・NTTグループ)がプッシュフォン電話機の申込み受付けを開始
- 政府が初の「公害白書」を発表
- 東名高速道路全線開通(346.7km)
- 石川島播磨重工業で日本初の原子力船「むつ」が進水
- 都市再開発法公布施行
- 新宿駅西口広場に機動隊が導入され、フォーク集会の若者たちを催涙ガス弾で排除、64人逮捕
- 地価公示法施行
- 宇宙開発事業団設置
- 英チャールズ王子が立太子式
- 米アポロ11号の飛行士(アームストロング船長)が人類初の月面着陸に成功
- 東京教育大が筑波への移転を決定
- 北海道旭川市で12日間の歩行者天国実施(日本初の歩行者天国)
- 米ニューヨーク州でウッドストック・フェスティバルを3日間開催(40~50万人の若者が集まった)
- 全国全共闘連合結成大会開催
- 千葉県松戸市が松本清市長(「マツモトキヨシ」の創業者)の発案で「すぐやる課」を設置
- プロ野球の金田正一投手(巨人)が通算400勝達成(金田はこの年末に引退)
- 全米でベトナム反戦デモ
- 国際反戦デーで社共両党・総評など86万人が統一行動。反共産党系学生のゲリラ活動で1505人逮捕
- 厚生省が発ガン性の疑いでチクロの食品・医薬品への使用を禁止
- 日銀が新五百円札(同じ岩倉具視の肖像だが、デザインが変わり、偽造しにくい印刷になった)
- 米アポロ12号、人類2度目の月面着陸に成功
- プロ野球西鉄の永易将之投手が八百長に関係したとして球界初の永久追放に
- 東京都が70歳以上の老人医療費無料化を実施
- 住友銀行が日本で初めて現金自動支払機を新宿に設置
- 共産党が創価学会・公明党の「創価学会を斬る」出版妨害をNHKで暴露
- 公害健康被害救済措置法公布
- 文部省が大学紛争白書を発表(紛争大学124校)
- テレビ受信台数1269万台、世界第1位
- 宅地・住宅開発ブーム始まる
- 海外旅行本格化
- クレジットカードの利用が大幅に増加
- 女子プロボーラーが誕生(須田開代子、中山律子、並木恵美子らがブレイク)
- 若者向け深夜ラジオ放送全盛
- 交通死傷者100万人に
- 新商品=ナナハン(オートバイ)、家庭用ビデオ(ソニー、松下電器)、家庭用衣類乾燥機、2ドア冷凍冷蔵庫、カラー複写機、ガス温風暖房器、アストロン(クウォーツ腕時計)、UCC缶コーヒー、おにぎりせんべい、かつおぶしの5g入りパック
流行語
エコノミック・アニマル、断絶、造反有理、学際、水平思考、柔構造社会、モラトリアム、ワルノリ、チンタラ、シコシコ、あなたごのみ、「あっと驚くタメゴロー」、「オー、モーレツ」、「それをいっちゃー、おしまいよ」、「オヨビでない」、「やったぜ、ベイビー」、「はっぱふみふみ」
物価
国鉄最低料金30円、ビール130円、かけそば80円
ファッション
- 全日本ブライダル協会設立
- 流行色:シック&クリアカラー、トリコロール
- マキシドレス、マキシコート流行、「ロンゲット」の語が登場
- パンタロンスーツ全盛
- レイヤードルック流行
- シースルールック流行
- ニットスーツ・ブーム本格化(横編高級スーツ人気、ジャージースーツも増加)
- ベスト流行
- ユニセックス、トランスセクシャル・ファッション登場
- カラーシャツ流行
- サマーシャツに綿の進出目立つ
- 綿のワンポイント・ポロシャツ台頭
- ロングマフラー人気
- ベルトがファッション・ポイントに
- ブーツ流行
- 文化服装学院、米FITと姉妹校提携
ファッション小売業
- 第1回世界小売業大会、NYで開催
- 玉川高島屋ショッピング・センター開業(百貨店を核にしたSCの日本第1号)
- 東京・八重洲地下街開業(東洋一)
- 阪急三番街「川の流れる街」大地下街オープン
- 共同仕入機構ナルサ設立(イトーヨーカ堂、サンコー、扇屋、伊勢甚、忠実屋、藤五ストア、尾張屋、武田百貨店)
- [西武百貨店]大宮店開店。*東京丸物跡を「パルコ」(日本初の専門店集団ファッションビル)として開店
- [そごう]法人改組50周年を機に商号を十合からそごうに変更。*横浜そごう設立(千葉そごうと同様、連結対象外企業)。*このあと、全国各地に地域会社を設立のうえ多店舗展開
- [高島屋]横浜高島屋の支店として東急二子玉川駅西口に玉川店オープン(本格的米国式SCとして成功)
- [天満屋]岡山に中四国最大の百貨店開店
- [東急百貨店]東横店火災
- [丸物]東京丸物閉店。*八幡丸物閉店
- [三越]再び小売業トップの座へ。*オリエンタル中村と提携。*マーガレット英王女を迎えて「英国フェア」開催
- [岡政百貨店]資本提携と人材強化のため、大丸の系列に入る
- [西友ストアー]三菱商事と提携、マイマートを吸収
- [佐賀玉屋]長崎玉屋オープン
- [ジャスコ]岡田屋、フタギ、シロの3社共同出資で共同仕入機構のジャスコ(株)を設立。授権資本金6億円、払込資本金1億5,000万円。*ジャスコと三菱商事の折半出資でディベロッパーの(株)ダイヤモンドシティを設立
- [ダイエー]1000億円企業実現(巨大小売業グループ始まる)。*首都圏レインボー作戦開始(原町田店開店)。*全高知スーパーと提携。*本部を大阪・中津に移転
- [長崎屋]東光ストア(現・東急ストア)と提携。*肌着・靴下・ランジェリー・セーターなどのPB「サンバード」発売
- [ニチイ]瀬戸内ニチイと中国ニチイを設立
- [ユニー]ほていや・西川屋が業務提携(ユニー設立は71年)
- [クレヨン]阪急三番街に出店(SPA型の商品展開を開始)
- [新宿高野]タカノが(株)新宿高野に改称。本店ビル「フレッシュターミナル」(地上8階・地下4階)竣工
- [鈴屋]玉川店・梅田店オープン。*年商50億円達成。
- [高久]チェーン展開を開始
アパレル産業
- 大阪マーチャンダイズ・マート(OMM)開業
- 新大阪センイシティ開業
- 全日本婦人子供乳児服組合連合会設立
- ワイシャツ値上げ表面化
- IFG(トリンプ)がソフトタイプのファンデーション「ハッピーボディ」発売
- 厚木ナイロン工業(アツギの前身)が「フルサポーティ」発売
- ヴァン・ヂャケットがアルフレックス・ジャパン設立(インテリア市場に参入)
- エドウインがボタンナップフレア、ダンガリーシャツ(同社の命名)を発売
- 海渡(エトワール海渡の前身)がプラザ館(現リビング館)オープン
- 勝根又が商号を大賀に変更
- グンゼが婦人服事業部開始
- 川久保玲がブランド「コムデギャルソン」を創設
- コロネット商会がクロエと輸入代理店契約
- 三陽商会が総合アパレル化開始
- ジュンがファッション業界初のFC1号店オープン
- 高屋織物商事をタカヤ商事に改称
- デサントがダブルニットの野球ユニフォームを開発(以後、主流は織物製からニット製に変わる)
- 牧村から分離独立してベルモード(トーベルの前身)を設立
- マルシン衣料がパインシャツを吸収合併して、パインマルシン衣料(トミヤアパレルの前身)に商号変更
- 田辺が営業部門を分離独立させてヒットユニオンを設立(資本金3000万円)
- メルボ紳士服が小売事業部門のメルボメンズウェアーを設立
- リーバイスがブーツカットジーンズ発表(パンクファッションに採り入れられる)
- レナウンが「アーノルド・パーマー」発売。*スポーツカジュアルの「セント・アンドリュース」発売。*「イエイエ」にジャンプドレスやパンタロン登場。*メンズナイティ「ナップマン」発売。*留め金のないガードル「ニューヨークフィット」を展開開始。*ヤング向けカジュアルソックス「ジョンブル・カレッジアン」発売
- ワールドがオンリーショップ政策採用
設立
東京ソアール
繊維・テキスタイル産業
- 特定精紡機一括処理実行委、業務完了し解散
- 羊紡会第1回訪ソ代表団出発
- 市況回復策としてナイロン各社、市中原糸買上げ
- 合繊ブームで品不足深刻化、特にポリエステル、アクリルは内需・輸出好調で品不足
- ポリエステル糸不足で、海外から輸入
- 化繊工業協調懇が合繊の新増設枠拡大、自由競争を決定
- ポリエステル後々発(鐘紡、旭化成、三菱レ)が市場参入
- 合繊各社が3大合繊の改良改質に積極化(シルキー、制電性、防炎性、染色性など)
- 帝人・日レ・鐘紡3社の業務提携解消を声明
- 福井精練(セーレンの前身)が群馬整染へ資本・経営参加。*17年間でAK3500ベンベルグデシン3億mの生産記録を樹立。*勝山工場でテトロンおよび栄輝の強撚糸織物加工に成功
- 旭化成がアクリルF糸「ピューロン」発表。*延岡にポリエステル工場完成
- オーミケンシがミカレディ部門を分離し、ミカレディ(株)を設立
- 倉紡が観音寺工場に空気精紡機BD200を導入
- 倉レが米デュポン社と人工皮革関係特許実施権許諾契約締結。*ポリエステル生産のクラレクラベラ設立。*西条工場でポリエステルF「クラベラ」生産開始
- 興国人絹パルプが興人(株)に社名変更
- 新光エステルが愛知工場でポリエステル生産開始
- 大和紡が空気精紡事業部を新設。*毛織物意匠センターを設置、「ダイワボウフレッシュライン」発売
- 帝人が帯電防止の「セルガード」製品発表。*台湾で合弁会社華隆を設立、ポリエステルFの生産開始
- 東洋紡がテーラードニット(ポリエステルのダブルニット・スーツ)「ヘランカ・ヒットライン」発売
- 東洋レが木原光知子(元オリンピック選手)を専属水着アドバイザーとして契約。*韓国ポリエステル(株)(を設立。*米カイザー・ロス社との技術提携にもとづく「エクセロ」「ジェイソン」メンズシャツを発売。*シルックなどの東レ素材を使い、三宅一生コレクションを開催。*ナイロン「パレル」(制電性糸)販売開始。*情報誌『東レ・ファッション・フォーキャスト』創刊。*米エフ・ジャコブソン社と提携、メンズシャツ「エクセロ」「ジェイソン」の市販発表
- 日レがエステルF販売開始
- ニチボー、日レが合併し、ユニチカ発足
- 東洋レ、帝人がタイに進出し、タイテトロンを設立
繊維・ファッション行政
- ニクソン米大統領が繊維輸出自主規制を要請
- 紡協、羊毛紡績会、化繊協会の3団体が米国の輸出自主規制に応じられないとの方針再確認
- 第2次資本自由化実施(紡毛紡績、メリヤス手袋業など50%)
- 衆院商工委が米国の繊維輸出自主規制要請に反対決議
- 参院商工委が米国の繊維輸出自主規制要請に反対決議
- 「特定繊維工業構造改善臨時措置法」一部改正(ニット、機械染色を追加)公布
- ミルズ米下院歳入委員長が議会に繊維品輸入規制法案を提出
- 衆院本会議が「米国の繊維品輸入規制に関する反対決議」採択
- 米スタンズ商務長官来日、日本の対米繊維輸出の自主規制を強硬申し入れ
- 第7回日米貿易経済合同委員会を東京で開催(米側は貿易・資本の自由化で日本の責任を強調、繊維輸出の自主規制要望)(大平通産相、「事実調査」のため米国への使節団派遣に同意)
- 日米繊維問題専門家会議、ワシントンで開催、意見対立のまま終了
- 米国が日本の対米繊維輸出規制に包括的な2国間協定を提案。日本側は米国提案を拒否(多国間協定を希望)。話し合い開始に合意
- 対米繊維対策協(17団体)が米国提案反対を政府に陳情
- 東京で対米繊維輸出規制反対総決起全国大会を開催
- 対米繊維輸出自主規制をめぐる日米予備会談をジュネーブで開催したが、不調に終わる
- 佐藤首相・ニクソン米大統領、ワシントンで会談(沖縄返還と対米繊維自主規制のバーター密約説あり)
- 「中小企業近代化促進法」改定(特定業種の構改)公布
政治・経済・社会
- リチャード・ニクソンが米大統領に就任
- 第1回ベトナム和平拡大会議(米政府、南ベトナム政府、北ベトナム政府、解放戦線)をパリで開催
- PLO議長にアラファト選出
- 第2次資本自由化実施(第1次分を合わせて204業種)
- 外貨準備が初の30億ドル台のせ
- 中ソ国境紛争、ウスリュー江の珍宝島で武力衝突
- 八幡製鉄と富士製鉄が合併契約調印
- 伊シチリア島のエトナ山が噴火し、主に溶岩流によって死者約1万人
- 佐藤首相が沖縄返還問題について「核抜き・基地本土並み」で折衝すると答弁
- 日ソ貿易交渉の議定書調印
- 衆議院本会議が公務員の定員に関する法案を可決。公布
- 中国共産党9全大会が林彪を毛沢東の後継者に決定
- 仏ドゴール大統領退陣、選挙でポンピドーが大統領に当選
- 自主憲法制定国民会議結成(会長岸信介)
- 公取委が八幡,富士合併に対して緊急停止申し立て
- 文部省が「大学の運営に関する臨時措置法案」をまとめる。全国大学30校以上が反対声明
- 政府が新全国総合開発計画を決定
- 中小企業近代化促進法改正公布(指定業種の構造改善促進)
- 東証旧ダウ 2000円の大台乗せ
- 米ニクソン大統領が8月までの米軍のベトナム撤退を発表
- 南ベトナム解放民族戦線が南ベトナム臨時革命政府樹立を発表
- 自民党が初めて靖国神社法案を国会に提出(審議未了)
- 東京都議会選挙、自民党が第1党に復活
- 日米貿易経済合同委で、米側は貿易・資本の自由化で黒字国日本の責任を強調、繊維輸出の自主規制を要望
- 「大学の運営に関する臨時措置法」案を抜き打ち採択、成立(国会大混乱)
- 仏がフラン11.1%切り下げ
- OECDが日本の国際収支黒字定着を指摘し、自由化促進を迫る
- 日銀が公定歩合を5.84%→6.25%に引き上げ(公定歩合年利建てに)
- 物価安定政策会議が「経済成長より物価抑制優先」で意見一致
- ホーチミン・ベトナム民主共和国大統領死去(79歳)
- 鹿児島県喜入町に石油輸入基地完成(貯蔵量120万kl)
- IMF・世界銀行年次総会がSDR(特別引き出し権)創出を決定
- 貿易外取引の自由化実施
- 西独がマルク切り上げ
- 八幡・富士合併に公取委同意審決
- 日銀が9月末全銀貸し出し約定平均金利は 7.375%で、実質上10年ぶりの急上昇と発表
- 政府が残存輸入制限55品目を71年末までに自由化の方針決定
- 佐藤首相訪米。ニクソン米大統領とワシントンで会談し共同声明を発表(安保堅持、韓国・台湾の安全重視、1972年に沖縄の施政権返還など。対米繊維自主規制とのバーター密約説もある)
- 農林省が全国17か所の干拓地の開田事業打ち切りを決定
- 衆議院解散(沖縄解散)
- 第32回総選挙(自民288、社会90、公明47、民社31、共産14。自公共伸長、社は40議席減)
- IMFが増資決定。日本の新出資額第5位。任命理事国に昇格
- 東証株価がダウ平均 2358円の史上最高
- テレビ受信台数1269万、世界第1位
- 国鉄監査委、国鉄は破産寸前と報告(累積赤字4137億円)
- 経済白書の副題「豊かさへの挑戦」
- (第6景気循環の上昇期、「いざなぎ景気」続く)