1962年(昭和37年)
ビック・トピックス
- オリンピック景気始まる(11月~1964年10月)
- 林周二著『流通革命』(前年末刊行)を発端に、流通革命、問屋無用論の論議広がる
- 量販店の増勢が加速
- 東洋レ、帝人のコンビナート・キャンペーンがファッション業界を巻き込む
- ニットブーム始まる
生活・文化
- 皇太子夫妻がパキスタン、インドネシア、フィリピンの3カ国親善旅行に出発(皇太子が風邪気味でフィリピン訪問を中止して帰国)
- 酒酔い運転の取り締り強化
- 東京にA2型流感が流行、全国に拡大(6月までつづき死者5868人)
- 東京都の推計人口が1000万人を突破。世界初の1000万都市に
- グレン中佐の乗る「フレンドシップ7号」が地球を3周して帰還(米国初の有人宇宙飛行)
- NEC(日本電気)、国産初の大型電子計算機発表
- テレビ受信契約1000万台を突破(英国を抜き世界第2位のテレビ国に)
- 国と浅間神社の富士山頂の所有権争いで、名古屋地裁は「八合目以上は浅間神社のもの」と判決
- 東京都内全域でゴミが容器収集方式に切り替えられ、ポリバケツの使用が始まる
- マンションの区分所有権を設定する「建物の区分所有等に関する法律」公布
- 「土俵の鬼」と呼ばれた横綱・若乃花が引退
- 常磐線三河島駅で二重衝突事件(死者160人、重軽傷者325人)
- 西独で奇形児問題化のため大日本製薬がサリドマイド系睡眠薬の出荷を停止
- 東京・築地の国立がんセンターが診察を開始
- 米国第2回人間衛星オーロラ7号打上げ成功
- 国民生活研究所発足('70 年に国民生活センターに)
- ばい煙排出規制法公布(1968年に改正され大気汚染防止法に)
- 北陸本線の敦賀―今庄間に北陸トンネル開通(1万3869mで日本最長、世界で第5位)
- ソニーがポータブル・テレビを発売し、予約殺到の大ヒット(6万5000円)
- 車庫設置の義務付け、ダンプカーの規制強化
- 参議院選挙全国区でテレビ番組「私の秘密」の出演者、藤原あきがトップ当選(タレント議員第1号)
- 佐世保重工が日章丸を進水(13万トン、全長291m。世界一のマンモスタンカー)
- 米国が通信衛星テルスターを打ち上げ、テレビ中継に成功
- 台湾にコレラが発生し、台湾バナナの輸入禁止
- 米女優マリリン・モンローがハリウッドの自宅で謎の死亡
- 第8回原水禁世界大会が社会党・総評の「ソ連の核実験に抗議する」動議で紛糾し、社会党系代表退場、宣言不採
- 夏の高校野球に沖縄が初出場
- 南武線の踏み切りで下り電車と小型自動車、さらに上り電車の二重衝突(死者2人、重軽症197人)
- 堀江謙一が小型ヨット「マーメード」で94日かけて太平洋横断(西宮→サンフランシスコ)
- ソ連が有人衛星ウォストーク3号、4号を打上げて宇宙ランデブーに成功し、ともに無事帰還
- 金田正一が三振奪取3,509個の世界記録
- 東海村に「原子の火」が常時ともる
- 政府がサリドマイド系薬剤の販売を禁止
- 若戸大橋開通(若松−戸塚間。2068mの東洋一の吊り橋)
- 富士ゼロックス、初の国産電子複写機を完成(コピー時代の幕開け)
- 日本航空機製造のYS11が初飛行(戦後初の国産旅客機)
- 東芝,電通,民放18社が出資してビデオリサーチ(株)創立
- ボクシングのファイティング原田が世界フライ級王座に
- モスクワで開催の第4回世界バレーボール選手権大会で日紡貝塚女子チームが全勝し、日本初の優勝
- 皇太子夫妻がフィリピン訪問
- 美空ひばり(25)が小林旭(24)と結婚(1964年に離婚)
- 東京-名古屋間のダイヤル市外通話開始(長距離ダイヤル市外通話の始まり)
- 横浜港の京浜運河で「第一宗像丸」とノルウェーの「サラルド・プロビグ号」が衝突炎上。小型船2雙が巻添えとなり、「第一宗像丸」の全乗員36人を含む41人が死亡
- 自衛隊北海道島松練習場で、酪農民が生活防衛のため電話線を截断(恵庭事件)(1967年に無罪確定)
- 米の惑星探査機マリーナ2号が金星から約3万5000キロの最接近点を通過
- 東京で連日スモッグ、大気汚染問題化
- 日本人の平均寿命、男性66.23歳、女性71.16歳
- 物価急上昇
- 求人ブームで大学生の青田刈り始まる
- 「女子大生亡国論」が話題に(大学の文学部の女子学生比率が高まる)
- 「徳川家康」ブーム(山岡荘八の小説が発端)
- 「新三人娘」売り出す(園まり・中尾ミエ・伊東ゆかり)
- 年の前半はツイスト、後半にはボサノバ流行
- 六本木族出現
- にせ千円札横行(翌年までに22都道府県で343枚発見された)
- 新発売=業務用電子レンジ(65万円)、ヘアリキッド、リポビタンD、スープ付き明星ラーメン、インスタントみそ汁、きゅうりのキューちゃん、ホンコン・フラワー(造花)、ポラロイド120型
流行語
孤独との戦い、残酷物語、安中派・安後派、青田刈り、人づくり、ビジョン、産業スパイ、サリドマイド、スモッグ、無責任(男、時代)、「ハイそれまでよ」、「わかっちゃいるけど、やめられない」、「どんと行こう」、「いっぱいやっか」、「カンケーない」、「バッチリよ」、気楽な稼業、スカッとさわやか
物価
ビール115円(値下げ)
ファッション
- 東洋レ、資生堂が各百貨店などと組んで「シャーベットトーン」のコンビナート・キャンペーンを展開
- 帝人、パンアメリカン航空、ハワイ観光局などは「ブルーハワイ」キャンペーンを展開
- カラー:シャーベットトーン
- アンサンブル流行、レーススーツ流行
- 「ニットブーム」と言われ始める
- ボーイッシュルック人気
- ショーティルック登場
- シルク・シフォンのブラウス、5段6段のフリルブラウス好評
- ビーズ、スパングル刺繍のセーター人気
- 夏、フェザースーツ、カンカンドレス、ムームー流行
- 秋、ラッシュコート流行
- ブルゾンスタイル人気
- 高級綿シャツ「クインパール」「ピマコット」発売、オリジナルシャツ生地開発進む
- ヤングマンシャツ(色柄ワイシャツ)登場
- スリムカットのテーパードシャツ増加
- オープンシャツ減少、ニットシャツ増加
- テトロン・トリコットのワイシャツ登場
- 半袖シャツの普及で夏ネクタイ需要増
- ナイロン・トリコットの縫製ストッキング人気
- 人造ファー(シール)のショール流行
- 刺繍ハンカチーフ人気
- 人造石のタイ止め、カフスボタン売上増
- 映画「ウエスト・サイド物語」のヒットでバスケットシューズ人気
ファッション小売業
- 林周二著『流通革命』(前年末刊行)を発端に、流通革命、問屋無用論の論議広がる
- 「不等景品および不当表示防止法」(景表法)施行。公取委の懸賞付販売規制を開始
- 百貨店の婦人服オーダー売場縮小、既製服売場増加
- 日本スーパーストア仕入協会発足
- 大量仕入機構設立
- 渥美俊一主宰のペガサスクラブ、経営者セミナー開始
- 専門店でコーディネート販売始まる(レナウン商事がコーディネート販売を提唱)
- [小田急百貨店]東京・新宿に開店
- [大丸]米メーシーと提携
- [東武百貨店]東上線池袋駅に池袋本店オープン
- [西武百貨店]ロサンゼルス店開店。*テッド・ラピドスと提携
- [そごう]水島廣雄社長就任
- [小美屋(川崎)]伊勢丹と提携
- [エンドー]遠藤養吉が仙台市宮町に東北地方初のスーパーマーケットとして開店
- [オカダヤ(四日市)]SSDDSを名乗る
- [セーフウェイ]尼崎市で外資系スーパー(セーフウェイ)進出反対デモ。*住友商事と提携
- [ダイエー]年商100億円突破(量販店初)
- [灘神戸生協]灘生協と神戸生協が合併、灘神戸生協を設立
- [ニチイ]日本衣料研究所(ニチイの前身)設立
- [ヤオハン・ジャパン]八百半食品デパートから営業権を譲受して(株)八百半デパート設立(社長に和田一夫が就任。その母和田カツは「おしん」の主人公のモデルの一人といわれる)
- [銀座かねまつ]ブルーノ・マリとの取引開始
- [銀座山形屋]東京オーダーソーイング(株)設立
- [サンモトヤマ]グッチの日本での独占販売権を取得(1990年4月契約終了)
- [鈴屋]池袋店オープン
アパレル産業
- 繊維二次製品の貿易自由化始まる
- 日本ユニホームセンター(NUC)第1回発表会
- 大阪メリヤス卸商業組合設立
- 卸商VC第1号、ルーキーチェーン発足
- 団体法によって横編機の設備規制実施
- 日本ブラジャーガードル協会設立
- 公取委が婦人靴下業界を価格協定の疑いで調査
- 靴下百年祭を実施
- 全日本スポーツウェア協会設立
- 全スポ協、日縫協がオリンピック協賛セール開始
- 西独ストール社、スイス・デュビエ社、シャハウゼ社などのジャカード自動横編機の輸入さかん
- 樫山(オンワード樫山の前身)が直営店第1号を立川中武にオープン。*子供服・和装・毛皮の部門を新設
- 郡是製糸(グンゼの前身)がポロシャツの販売開始し、外衣分野に進出
- 小杉産業(コスギの前身)が米ジャンセン社とライセンス契約(アパレル業界初のライセンス契約)
- ジュンが銀座店開店
- 内外編物(ナイガイの前身)がニットドレス分野に進出
- 日綿実業(ニチメンの前身)が米マクレガー社とライセンス契約(のちに子会社ニチメン衣料の扱いになる)
- 高原シャツ工業(フレックスジャパンの前身)がカノライズカラーを開発し、一躍業界の注目を集める
- 洋装店(株)大東(ラピーヌの前身)が婦人既製服分野に進出
- 野村商店(ルシアンの前身)がセーター、ブラウスを取扱い開始
- レナウン商事がレナウンルックを分社設立
- 芦森工業が自動車用シートベルト「オートフレンド」の製造を開始
繊維・テキスタイル産業
- 大阪三品取引所に綿花上場(20年振り)
- 学校法人大阪繊維工業高等学校が開校
- 梳毛糸操短実質44%
- 綿紡大手10社とナイジェリアの合弁紡設立仮調印
- 輸出レーヨン織物の不況対策として、日本レーヨン織物輸出振興協会が買上げ
- 合繊メーカーの系列化の対象がアパレル生産企業から卸企業へと広がり始める
- 東洋レ、帝人がポリプロピレン生産販売開始
- 東洋レ、帝人、東洋紡、日清紡の4社がテトロンとポリノジックの混紡品に「テポリ」と命名
- 合繊3グループ(東洋レ、帝人、旭化成)のセイロン進出に認可おりる
- 倉レ・日レ・東洋紡の3社がポリエステルの共同商標を「エステル」と決定
- 日東紡・大和紡・東亜紡・新日窒の4社がポリプロピレンの共同商標を「ポリプロ」と決定
- 近江絹糸(オーミケンシの前身)が「ハイ・オーミ」のブランドで、ニット製品や寝具の分野に進出
- 鐘紡がカネボウ化粧品・鐘紡サービスの両社を吸収合併
- 倉レがクラレショップ設立
- 郡是製糸(グンゼの前身)が生糸生産91年の幕を降ろす
- 小松精練加工丸の内工場に合繊専用工場完成
- 酒伊繊維工業(サカイオーベックスの前身)がセイロン(現・スリランカ)の現地資本、三井物産、東洋レの出資による織布・染色加工の合弁会社を設立
- 福井精練(セーレンの前身)が勝見工場に高圧ビーム染色機2台設置、テトロンシャーティング染色を開始
- 帝国人造絹糸が帝人に社名変更
- 東洋レが通産省の勧告に応じてナイロン建値廃止、一部のナイロン糸の値下げ決定。*ポリエステルのマルチ異形断面糸(のちのシルック)を開発。*滋賀工場のレーヨンF生産中止、レーヨン設備を廃棄。ナイロンへの置き換えを積極化。*東レ基礎研究所設立
- 日清紡が島田工場で200番手綿糸紡出に成功
- 日レがニチレ・バークシャー設立(ストッキング生産)
- 三菱アセテート富山工場がアセテートの生産開始
繊維・ファッション行政
- 通産省が操短強化を指示(長期格納率12%、短期格納率21.5%、計33.5%)
- 通産省が綿紡の長期・短期格納を含む一般操短率は5~6月43.5%、特別生産のための解除限度を差引き36.5%と指示(戦後最高)
- 繊維二次製品、化繊パルプなどの貿易自由化
- 家庭用品品質表示法公布(繊維製品品質表示法を一般化したもの)
- 米国上下両院が綿製品輸入制限法案を可決
- 政府外貨審議会が鐘紡、呉羽紡、旭化成のナイロン技術導入を認可
- 梳毛糸操短実質44%
- 政府外貨審議会が東洋紡、日レ、倉レのポリエステル技導入を認可
- ケネディ米大統領が米綿2重価格制廃止を言明
- 通産省が下期の操短率を綿紡36.3%、スフ紡30.5%と決定
- GATTの「綿製品国際貿易長期取り決め」(LTA)発効
- 貿易自由化品目に綿製品、毛織物、化繊糸などが加わる
- 政府、原綿輸入担保率を現行の5%から1%へと引下げ決定
- レーヨン糸の生産指示量制を廃止
- 通産省、紡績過剰設備の廃棄案を提示
- 通産省、対米綿製品輸出の規制強化を発表(63年から割当制を計画的に)
政治・経済・社会
- ラテンアメリカ自由貿易連合条約(LAFTA)発効(アルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイが加盟。共同市場の創設が目的)
- ガリオア・エロア返済に関する日米協定調印
- 創価学会政治連盟が公明政治連盟に改称
- EECが域内関税を新たに10%引き下げる
- 東京都の常住人口1000万人を突破(世界初)
- 日米相互関税引き下げ協定調印
- 米が南ベトナムに軍需援助司令部設置(米の軍事介入本格化)
- 臨時行政調査会初会合(会長佐藤喜一郎三井銀行会長)
- 閣議で減税による物価引き下げ措置を承認
- ビルマでネ・ウイン指導の軍部クーデター成功
- 日米ガット関税取り決め調印
- ケネディ米大統領が「沖縄は日本」と公式声明
- 日本・ニュージーランド貿易議定書調印
- 閣議で物価安定総合対策を決定、経済全般にわたる視野から物価対策へ
- 韓国が政治活動浄化法公布。尹韓国大統領が同法に反対して辞任。朴正煕が大統領権限を代行
- 仏とアルジェリア臨時政府が停戦協定(エビアン協定)調印
- 物品税,酒税,入場税などの減税実施
- 米がクリスマス島周辺で大気圏内核実験強行
- 4月の鉄鋼生産が10%強の減産、各産業に不況拡大
- 新産業都市建設促進法公布
- 石油業法公布(石油供給計画の作成など)
- 防衛庁設置法改正公布(防衛施設庁新設、調達庁廃止)
- 政府が景気調整策の推進を確認
- 短期外資流出調整のため外貨準備金制度発足
- 閣議が生鮮食料品の価格安定を決定。標準小売店,公認小売市場などを決める
- 日本・EEC関税相互引き下げ協定調印
- ラオスが連合政府成立
- ILO総会が週40時間労働勧告を採択
- 第6回参議院選(自民69、社会37、公政連9)
- アルジェリアが仏から独立
- 第2次改造池田内閣成立(佐藤栄作、三木武夫が閣外に去り、大平正芳外相、田中角栄蔵相)
- 江田三郎社会党書記長が新しい社会党のビジョンを主張
- 松村謙三自民党議員が周恩来中国首相と会談、日中関係正常化で合意
- アルジェリア独立宣言
- 輸入自由化品目拡大(230品目を追加。自由化率88%に)
- 閣議が全国総合開発計画を決定
- 米国の1962年通商拡大法正式発効
- 中国とインドが国境紛争で衝突
- ケネディ米大統領がキューバにソ連のミサイル基地建設中と発表、キューバ海上封鎖を声明(キューバ危機)。フルシチョフがキューバからの攻撃的武器撤去を表明して危機収束
- GATT事務局が輸出補助金禁止宣言の発効を発表
- 首相の私的諮問機関「国づくり」懇談会が初会合
- 日銀が公定歩合を1厘引き下げ(日歩1銭9厘となる)。預金準備率が引き下げられる
- 高崎達之助が廖承志と日中総合貿易覚書調印(LT貿易、友好商社方式で再開)
- 市場拡大へ、見本市船「さくら丸」出航
- 日英通商航海条約調印
- 仏総選挙は第2次投票の結果、ドゴール選出
- 日銀が公定歩合を1厘再引き下げ(日歩1銭8厘となる)
- 社会党第22回大会で「江田ビジョン」批判決議可決。新書記長に成田知巳選出
- 全銀協が貸し出し金利を引き下げ
- 社会党・総評など「原水爆禁止と平和のための国民大会」開催。「いかなる国の核実験にも反対」を決議。同実行委が原水爆禁止連絡会議と改称
- 自衛隊北海道島松練習場で、酪農民が生活防衛のため電話線を截断(恵庭事件、1967年無罪確定)
- 経済閣僚懇談会が自由化促進対策を決定
- 機械輸出が輸出の29.2%を占め、繊維輸出を抜く
- 経済白書の副題「景気循環の変貌」
- (第4景気循環は下降期に入るが、早くも10月が底になり、オリンピック景気が始まる)