1959年(昭和34年)
ビック・トピックス
- 岩戸景気の真っ只中(58年下期~61年下期)
- 皇太子ご成婚パレード、テレビの購入急増
- マイカー時代始まる
- ミッチーブームつづく
- アクリルセーター進出
生活・文化
- 挙母〔ころも〕市がトヨタ自動車にちなんで豊田市に改称
- 第3次南極観測隊が、前年に置き去りにしたカラフト犬15頭のうち、タロー、ジローの奇跡的生存を確認
- 自民党の池田勇人(のちの首相)が月給2倍論を表明
- 東京・杉並区の善福寺川で、BOAC(英国海外航空会社)の独身スチュワーデス(27)の遺体発見(ベルギー人の神父が捜査線上に浮かんだが、突然帰国。疑惑を残したまま迷宮入りした)
- 昭和天皇の五女・清宮貴子(すがのみやたかこ)(20)と銀行員の島津久永(24)との婚約発表
- 盛岡発上野行きの列車に県外に就職する中学・高校卒業生796人が乗車(集団就職列車第1号)
- 東京地裁が安保条約による米軍駐留は違憲、砂川事件は無罪と判決(伊達判決)
- 検察、伊達判決を不服として、高裁を飛び越して最高裁に上告
- 皇太子ご成婚パレード、テレビ視聴者推定1500万人、テレビの購入も急増
- 首都高速道路公団法公布
- 統一地方選挙
- 国際オリンピック委員会が第18回大会の開催地を東京に決定
- メートル法が完全施行され、尺貫法廃止
- 東京・上野に国立西洋美術館が開館(「松方コレクション」が中心。第2次世界大戦で仏の国有財産になっていたものが寄贈返還された)
- プロ野球初の天覧試合、巨人×阪神戦が後楽園球場で開催(長島が村山投手からサヨナラホームラン)
- 沖縄県石川市宮森小学校に米軍ジェット機が墜落し、児童12人を含む27人が死亡、122人が負傷
- 最低賃金法公布
- 東京・神宮プールで開かれた日本選手権で世界新。200m背泳の田中聡子、400m自由形の山中毅
- 厚生省が7月21日を「自然公園の日」と制定
- 熊本大学医学部が水俣病の原因は有機水銀と結論
- 児島明子が米国のミスユニバース・コンテストで世界1位に選出
- ハワイが米国の50番目の州に昇格
- 最高裁が松川事件有罪の原判決を破棄、差し戻し判決
- ソ連の無人探査機ルナ2号が月面「晴れの海」に命中。月に到達した最初の人工物体になった
- 黒いジェット機が藤沢飛行場に不時着(政府は国会で「米国の気象観測機」と答えたが、翌年、ソ連に同型機が狙撃されてCIAのスパイ機(U2型)と判明した)
- 伊勢湾台風(台風15号)で、死者5041人(明治以後最大)、被害家屋57万戸
- 東京地裁がデモ規制の東京都公安条例に3度目の違憲判決
- ソ連の月探査機ルナ3号が月の裏面に回って、初の裏側撮影に成功
- 政府が所得倍増計画を経済審議会に諮問
- 東宝劇場で菊田一夫作・演出の「がめつい奴」が開演。ロングランを続ける
- ニッポン放送がラジオの24時間放送を開始
- 国民年金法公布
- 国鉄に初のコンテナ型貨物列車が走った
- 水俣病問題で漁民1500人が新日本窒素水俣工場に乱入、警官隊と激突
- 英紙がソニーの進出を「日本の通商脅威」と報道
- 「緑のおばさん」が初めて登場
- 厚生省ルパング島調査団が「小野田寛郎元少尉らは5年前に死亡」と調査終了を報告(1972年に発見、74年に救出)
- 東京陸運局が個人タクシーとして173台に免許を与え、15年ぶりの登場
- 北朝鮮への第1次帰国船が975人を乗せて新潟を出港
- 最高裁、砂川事件で「駐留米軍は違憲ではない」と原判決を破棄し、差し戻し判決
- レコード大賞創設、第1回受賞は「黒い花びら」
- NHKのテレビ受信契約が346万3000件に。前年比倍増
- 輸出量が戦前水準を回復
- 「消費革命時代」と言われ始める(特に電化製品の売上げが伸び、電気釜,テレビ,電気洗濯機などに人気)
- マイカー時代に突入(マイカー元年)
- 銀座4丁目が1坪156万円で地価日本一になる
- 100円硬貨の形式が改正され側面のギザがなくなった
- 「青年の家」誕生(皇太子成婚を記念して富士山麓に開設。その後、全国に広がる)
- 東京・千鳥ヶ淵に「戦没者墓苑」が竣工(国の無名戦死の墓。太平洋戦争の戦場から集められた遺骨9万余体を納骨)
- フクロウ部隊(夜間警備を行う私服警官によるパトロール隊)登場
- 新商品=「ブルーバード」、「三菱500」、「グロリア」、自動温度調節器付き電気ポット、ロースター、自動オーブン、遠心脱水機、セパレート型エアコン、コンパクトカメラ「オリンパス・ペン」、「エースコック」、「マルタイラーメン」、即席しるこ
流行語
岩戸景気、消費革命、消費は美徳、アフターサービス、カミナリ族、サッチョン族(札幌に単身赴任)、三当四落、3S(スリーエス=女性の憧れの職業、スチュアーデス、スター、セクレタリー)、タフガイ、「ヨワい」、カックン、がめつい、乗車拒否、優マーク、曲がり角、トランジスタ・グラマー、ファニーフェース、ちゃんねえ、「私の選んだ人を見てください」
物価
14型白黒テレビ5万円前後、勤労者所帯の月平均定期収入2万5247円
ファッション
- 伊のニットデザイナー、マリオ・トラベルソオがキャラバンの招きで来日
- カラー:慶祝カラー(サフラン色、真珠色、さくら色、アイボリー、若竹色など)、ブリリアントーン、ザイラーの黒、チャコールグレー最高潮
- 映画「三月生まれ」で、ササールコート流行
- 映画「芽生え」で、ジャクリーヌ・タイツ流行
- 映画「黒い稲妻」「白銀は招くよ」(トニー・ザイラー主演)で、黒のスキーウェア・キャンペーン
- 皇太子ご成婚のミッチー・ブームで、ナイロン・タフタの白いワンビース、白いコート、テニスセーター、スコート、ヘアバンドなどが流行
- フォークロア(中近東風)ファッション出現
- 紳士服はボールドルックからアメリカン・ナチュラルへ。黒とチャコールグレー流行。ツイード登場
- 綿のトレンチコート好調
- シルキータッチのスポーツシャツ売れる
- テトロンの進出でW&W性が注目され始める
- アクリルセーター進出
- ポロシャツ生産過剰
- ビニールレザーのジャンパー流行
- 紋織のネクタイ人気上昇
- シームレスストッキング流行
- アンクロワイヤール(大きくふくらませた髪型)流行
- マックスファクター化粧品が日本進出、高島屋と提携してローマン・ピンクのカラー・キャンペーン実施
- サンローラン、ロング&ナチュラル発表
Fジャーナリズム
「繊研速報」が「繊研新聞」に改称。東洋連が月刊誌「洋品界」を創刊し、服飾記者会を設立(日繊、繊研、繊維小売、センイ・ジヤァナルの記者のほか読売新聞の渥美俊一も参加)
ファッション小売業
- 小売商調整特別措置法施行
- 通産省が割賦販売について規制勧告
- 全国織物物品税反対期成同盟、全国大会開催
- 織物物品税の実現を阻止
- 浜松主婦の店開店反対で流血騒動
- 日本ドレスショップチェーン(VC)設立
- 神戸でダイエー進出反対のムシロ旗大会
- 百貨店が一斉にルック展開を開始(三越/ツイードルック、イタリアンルック、伊勢丹/プリンセスルック、ササールルック、西武/ミセスルック、フェミニンルック、白木屋/シュナイダールックなど)
- [伊勢丹]カプッチほか7社と提携
- [京浜百貨店]横須賀店開店
- [西武百貨店]ルイ・フェローと契約、来日ショー
- [大丸]紳士服のPB「トロージャン」発売
- [高島屋]ピエール・カルダンと提携。横浜高島屋オープン
- [東武宇都宮百貨店]宇都宮市のオリオン通り入口に開店(東武百貨店とともに東武鉄道の子会社だが、別法人)
- [東横百貨店]初の海外店舗として、シロキヤ・インコーポレイテッド「アラモアナ店」開店。
- [赤札堂]上野で日本初のSSDDSを開店
- [イオン](株)岡田屋呉服店が(株)岡田屋に社名変更(資本金1500万円)
- [いずみや]2号店の尼崎店を開店、チェーンストアへの第一歩を踏み出す
- [青楓チェーン]青山商店、VC化に着手
- [西友]西武ストアーが第1号店を東京・田無に開店
- [ダイエー]三宮新店舗へ。*ダイエー、初のPBを発表(グンゼ・ソックス、続いて東洋紡ブルーマウンテン・ワイシャツ)
- [壱番館洋服店]壱番館貿易設立。大森工場開設。
- [コナカ]神戸百貨(株)が「一文字屋」の屋号で東京営業所を開設
- [サンモトヤマ]支店を銀座みゆき通りに設立
- [西松屋チェーン]赤ちゃんの西松屋(株)が(株)西松屋ストアーに社名変更
- [やまと]呉服専門店やまと、チェーン化に踏み切る
アパレル産業
- 再販売価格維持制度品目にワイシャツ指定
- 靴下の生産調整のため、団体法58条命令発動
- 莫工連、丸編機の2割封印の自主規制実施。続いて、団体法57条命令(2割封印と毎月4日以上の運転停止を含むアウトサイダー規制命令)発動
- 東京紳士既製服製造工業組合設立
- 東京婦人子供既製服製造工業組合設立
- 日本経編メリヤス工業組合連合会設立
- 日本横編メリヤス工業組合連合会設立(莫工連から分離)
- 日本被服工業組合連合会(日被連)設立
- 日本布帛製品工業組合連合会設立
- 日本フルファッションニットウェア工業会設立
- 英ベントレー社の丸編セーターマシン登場
- ヴァン・ヂャケットがアイビースーツ発表
- 樫山(オンワード樫山の前身)が婦人服部を設け、本格的に婦人服に進出
- コロネット商会がダンヒルとライターの輸入代理店契約
- 丸光(プロルート丸光の前身)が本社ビル竣工開店、セルフサービス方式による総合衣料品前売現金卸商に業態転換
- 山本武克が東京・日本橋箱崎町に繊維品の卸売業(ヤマモトの前身)を創業
- リーが白いコットンサテン地の「リー・ウエスターナー」発売(ホワイトジーンズの誕生)
- レナウン商事が全国にレナウン・チェーンストア(RS)を組織し、「暮らしの肌着」を主力商品として提供(リテールサポートとしてセールスボックス支給などを開始。初年度に3500軒参加)。*ブランド「レナウン・セーター」開始。*テレビCMに長島茂選手を起用。*テレビ番組「カメラマン・コバック」を提供
- 神戸の光商会(エンパイアーの前身)から木口衛、畑崎廣敏が独立して(株)ワールドを設立(社長に木口、専務に畑崎が就任。1972年に木口が会長、畑崎が社長に就任。1995年まで二人三脚体制がつづく)
- 芦森工業がクレモナロープ、ナイロンロープNK規格認定
繊維・テキスタイル産業
- 日本絹業協会発足
- 過剰綿スフ織機処理規則が実施される
- 繊維3業界首脳会談で綿・スフ・梳毛・合繊過剰紡機の格納実施をきめる
- 繭不足で山梨県下の国用生糸工場半数60工場休業、岡谷地方国用製糸も殆んど休業、2000人の工女解雇
- 輸出絹ブームで石川、福井など人絹織から絹織に転換目立つ
- 綿・梳毛・スフ・合繊過剰紡機の格納開始(綿紡は15%格納)
- 操短の封かん率30%から27.5%に緩和される
- 化合繊設備の登録制施行
- 化繊協会がアクリル設備調整開始
- 内外需要の好調と夏秋蚕の減蚕を材料に清算暴騰、先限は19万円台乗せ
- 通産省が繊維操短緩和勧告
- 伊勢湾台風による中部地区の繊維産業の被害甚大
- 化繊協会がレーヨン紡績糸輸出カルテル結成を決定
- 操短の封かん率27.5%から25.5%に緩和される
- 化合繊の生産高が世界第2位に
- 化繊協会、合繊設備自主調整
- レーヨンF操短緩和
- レーヨンS、操短逐次緩和始める
- 第一物産が三井物産を合併する形で新三井物産を設立
- 酒伊繊維工業(サカイオーベックスの前身)が 三菱アセテートと提携して、アセテート織物加工を開始
- 旭化成がアクリル繊維生産開始
- 帝国製麻と中央繊維が合併して、帝国繊維(株)設立
- 東洋レがアクリル繊維生産開始。*プロダクションチーム、セールスチームという呼称を使い始める
- 三菱ボンネル(三菱レの子会社)がアクリル繊維生産開始。
- 三菱レがポリノジック繊維生産開始
- 米デュポン社がスパンデックス繊維開発に成功し企業化決定。商標名「ライクラ」
繊維・ファッション行政
- 繊維総合対策懇談会が「繊維の総合対策について」の意見書を提出
- 繊維工業審議会が化合繊設備(紡糸機)の設備規制を答申
- 通産省が紡毛設備の格納を指示
- 政府が1961年4月からの原綿・原毛など繊維原料輸入自由化計画を公表(繊維局長発言:「36年4月の自由化に対処することが当局の主任務」)
- 経済閣僚懇談会が原綿・原毛の輸入自由化を36年4月1日から実施することを決定
- 繊維工業設備臨時措置法による1958・59年度綿スフ・絹人絹織機の買上を計5万1600台と決定
- 繊維局が繊維総合対策を答申(設備規制、過剰設備処理、生産調整、合理化、輸出振興)
- 繊維工業設備臨時措置法(繊維旧法)改正法公布(化学繊維製造の設備規制を追加)
- 通産省が過剰紡機の一部格納処理を指示、引き続いて無登録紡機取り締まりを指示
- 政府が綿・化合繊・絹織物の輸入を許可
- 通産省が1960年1月以降繊維操短解除の方針を発表
- 靴下の生産調整のため、中団法58条命令発動
- 莫工連が実施中の丸編機2割封印の自主調整に中団法57条命令発動(2割封印と毎月4日以上の運転停止を含むアウトサイダー規制命令)
政治・経済・社会
- パチスタ軍が無条件降伏し、カストロがキューバ革命勝利宣言(バチスタ大統領は前日、ドミニカに脱出)
- 大蔵省が貿易為替の自由化推進の方針を決定
- 東京株式がダウ平均670円台乗せ
- キューバ首相にカストロが就任
- 政府が戦後初の外債をニューヨークで公募
- 日銀が公定歩合を1厘引下げ
- 米国がトルコ・イラン・パキスタンと相互防衛条約調印(アンカラ協定)
- 浅沼稲次郎社会党訪中団長が「米帝国主義は日中国民共同の敵」と演説
- チベット反乱。ダライ・ラマ、インドに亡命
- 社会党・総評・原水協などが日米安保条約改正阻止国民会議を結成
- 藤山外相が安保改定について米駐日大使と交渉再開
- 安保阻止国民会議が東京・日比谷公園で第1次統一行動
- 大蔵省が貿易自由化の細目を発表
- 中国が国家主席に劉少奇を選出(毛沢東は党主席に専念)
- 政府が南ベトナムと賠償協定(5年間に3900億ドル)・借款協定(3年間に750万ドル)に調印
- 第5回参議院選挙(自民が過半数、創価学会6人全員当選)
- 岸内閣改造(通産相に池田勇人)
- 岸首相が欧州・中南米11か国訪問に出発
- 中国・インドが国境で武力衝突
- 在日朝鮮人の北朝鮮帰還に関する日朝協定調印
- 三井鉱山が4580人整理案提示。三鉱連が反復スト闘争に突入。会社側が指名解雇を通告(三池闘争始まる)
- 大蔵省が対ドル為替レートの自由化(プラス・マイナス5%以内の変動)実施
- アイゼンハワー・フルシチョフ会談(キャンプ・デービッド会談)
- フルシチョフが北京を訪問し毛沢東と会談(共同声明発表されず、中ソの意見対立激化)
- 東証株式出来高1.56億株で、開所以来の大商い
- 沖縄の民主党など保守政党が合同して沖縄自民党を結成(大田政作総裁)
- 自民党が安保改定を党議決定
- 国防会議が航空自衛隊の次期戦闘機をロッキードF104Cに決定
- 通産省が対ドル地域輸入制限180品目の自由化決定(貿易自由化開始)(その後、1962年4月に繊維二次製品、同11月に紡績糸・紡績糸織物、1966年4月に化合繊S・Fを自由化する)
- 社会党が分裂(社会党の河上派の国会議員12人が離党)
- 安保阻止第8次統一行動、国会請願のデモ隊が国会構内に入る
- 日銀が公定歩合1厘引下げ
- 経済白書の副題「速やかな景気回復と今後の課題」
- (前年6月を底として第4循環上昇期、「岩戸景気」が続き、「数量景気」ともいわれる)