1960年(昭和35年)
ビック・トピックス
- 岩戸景気つづく(実質経済成長率13.3%)
- 新安保条約が反対デモのなかで自然成立
- 三井三池闘争(石炭から石油へエネルギーが転換する過渡期の大事件)
- 百貨店がルック・キャンペーンからカラー・キャンペーンに移行
- ヤング・ファッション急成長、ジーパンスタイル増加
生活・文化
- ピンク電話(特殊簡易公衆電話)登場
- 警視庁に10年ぶりに婦人警官が復活
- 東京都内の電話局番が3桁に(従来の2桁の末尾に1を付けた)
- 冬季オリンピックがスコーバレー(米)で開催(開会式をディズニーが演出。日本メダルなし)
- 皇太子夫妻に長男・浩宮徳仁親王誕生
- 大相撲3月場所千秋楽で史上初の全勝横綱同士の取組。若乃花優勝(負けた栃錦は5月場所3日目に引退)
- 創価学会の第3代会長に池田大作が就任
- 尾関雅樹ちゃん(7歳)誘拐事件発生(通学途上で誘拐、犯人は200万円を要求したが、果たせず殺害)
- 太平洋岸にチリ津波来襲、北海道南岸・三陸に大被害(死者139人、家屋全半壊4100戸、流失1200戸)
- 新潟県長岡市の油田で火事発生(10日後に鎮火)
- 道路交通法公布
- 国鉄の一・二・三等級制が一・二等級制になる
- 大津市の比叡山ドライブウェイで観光バスが定期バスと衝突し90m転落、死者30人
- 東京・山谷で住民3000人が暴動(マンモス交番を襲撃)
- ソ連が犬を乗せた宇宙船を打ち上げた(軌道を17周した後、3日後に帰還し、犬は無事回収)
- 東海道線の特急「こだま」「つばめ」に公衆電話設置
- 第17回ローマ・オリンピック開催(アベベがマラソンの世界記録で優勝。日本は金4・銀7・銅7。体操ではソ連を抜いて団体優勝した)
- カラーテレビ本放送始まる
- 日米修好100年を記念してアイゼンハワー米大統領に招待された皇太子夫妻が訪米
- 「牛肉カンヅメ」の大半が鯨肉か馬肉を使用と判明して大問題になる
- 国勢調査、総人口9342万人
- 公取委が誇大広告制限で独禁法強化を決める
- プロ野球セ・リーグで前年最下位の大洋が優勝し、日本シリーズでも4連勝。監督三原脩ブームが起こる
- 日紡貝塚女子バレーの主力がブラジルの第3回世界選手権に出場(2位)
- 6大都市で外国たばこが自由販売になる(20本入り150円)
- テレビ・ラジオで初の党首討論会
- 皇太子夫妻がイラン、エチオピア、インド、ネパールへ旅行
- 南極昭和基地で犬に餌をやりに行った隊員が行方不明に(日本隊初の犠牲者)
- 大相撲11月場所で大鵬が初優勝(若乃花は前の9月場所で優勝して引退)
- 1円玉が全国的に不足し,日銀貯蓄推進本部が“1円玉回収運動”を開始
- 石原裕次郎と北原三枝が結婚
- 上野−青森間で、SLに代わるディーゼル特急「はつかり」の運転開始
- 「黄金の年」「黄金の60年代」と呼ばれる
- レジャー・ブーム、投資ブーム始まる
- 郵便貯金1兆円突破、国内の電話加入者が360万人に
- テレビ登録台数500万台突破、電気冷蔵庫普及
- 全国の映画館数7457館で史上最高
- インスタント食品時代到来(インスタントラーメンが続々と発売されたほか、グリコのワンタッチカレー、ハウス印 度カレー、森永インスタントコーヒーなども登場)
- ダッコちゃんブーム(宝ビニール工業所=現・タカラが発売。180円。正式名称は「木のぼりウインキー」)
- 「ヌーベルバーグ」映画台頭
- マンガ貸本屋全盛(水木しげるの「鬼太郎夜話」など貸本屋向けの出版も始まる)
- ダンプカーの通行激化
- トルコ風呂乱立
- 新商品=カラーテレビ、トランジスタ・テレビ(8インチ白黒、6万9800円)、ヒートポンプ式ルームクーラー、遠心脱水機付き2槽式洗濯機、自動保温付き電気釜、コードリール式掃除機、ホットプレート付きロースター、ロング サイズたばこ「ハイライト」、「クレラップ」
流行語
家つき・カーつき・ババア抜き(若い女性の結婚条件)、安保闘争、全学連、声なき声、低姿勢、所得倍増、寛容と忍耐、ナンセンス、トップ屋、リバイバル、「私は嘘は申しません」、行動右翼、七生報国
物価
コーヒー60円、銭湯の入浴料17円、カラーテレビ(17インチ)42万円
ファッション
- 西武百貨店の招きで、テッド・ラピドス来日
- 中村乃武夫がパリでファッションショー開催(日本人デザイナー初)
- カラー:パストラルカラー
- 紳士服・婦人服の既製服化が加速し始める
- 石津謙介がTPO提唱
- ヤング・ファッション急成長、ジーパンスタイル増加(学生運動のユニフォームだった)
- アイビースタイルの急成長始まる
- TCシャツ(TCはテトロン綿混の略。ポリエステル綿混の意)普及、ワイシャツ総需要の40%に
- 格子柄のスポーツシャツ流行
- ササール・コート、業界のドル箱になる
- バルキーセーター・ブーム
- シャギータッチの婦人ロングセーター人気
- アイビーセーター(天竺編、クルーネック、7ゲージ)人気
- 東洋レが初の水着キャンペーン(ストップルック)開始
- U首肌着進出
- 紋織マフラー増加
- ウレタンフォームの第一弾「アロンフォーム」発売
- ポリアミド系合成皮革「ゴールドキッド」「デラクール」発売(人工レザーの登場)
- 紳士靴、ハイヒールの両方にイタリアン・カット(つま先が細くシャープな感じで、トウや底が薄く、そり返りのある靴)が流行
- アイシャドーの流行始まる
- サンローラン、クレージュがプレタポルテ開始
- カルダン、春夏にチャールストンルック、秋冬にバンプスタイル発表
Fジャーナリズム
「ハイファッション」創刊、モード・エ・モード創刊
ファッション小売業
- 百貨店がルック・キャンペーンからカラー・キャンキャンペーンに移行(伊勢丹/イタリアン・グリーン、西武百貨店/光と影、東急百貨店/ハワイアン・ブルー、三越/メディタレニアン・ブルー)
- 百貨店と欧米デザイナーの契約続出(西武/テッド・ラビドス、高島屋/ピエール・カルダンなど)
- 百貨店で生地の着分売り始まる
- 日本スーパーマーケット協会発足(120店が加盟)
- 米のスーパーマーケットの権威者、ジンマーマン来日
- クレジットカード導入の小売企業増加
- セルフサービス店、全国で1465店
- メーカー・卸商の小売行為反対全国大会開催
- [伊勢丹]業界初のパーキングビルを本店西側に完成。*三菱銀行と提携してクレジットカード発行
- [西武百貨店]パリ駐在事務所開設
- [大丸]香港店開設。*量販店の「ピーコック」(現・イオンマーケット)設立
- [高島屋]三和銀行と提携して「お買い物カード」(クレジットカード)発行
- [東武百貨店]設立
- [松屋]浅草店屋上にコドモ動物園誕生
- [丸物]マックストアの名称でスーパーマーケットを開業。*創業者の中林仁一郎社長が70歳で急逝
- [丸井]月賦をクレジットにイメージ転換
- [三越]本店中央ホールに天女像(まごころ)を設置。*富士銀行と提携してクレジットカード発行
- [岡政百貨店]第二期増築工事で、北側に地下1階、地上8階の建物を増設(現在の博多大丸長崎店がほぼ完成)
- [イトーヨーカ堂]セルフサービスに転換
- [ダイエー]初の量販店PB商品としてミカンの缶詰を発表(つづいて「グンゼソックス」をPBに)
- [銀座テーラー]鰐淵正志が「鰐淵洋服店」開業
- [コナカ]神戸百貨(株)と一文字屋が統合し、日本テーラー(株)に社名変更。*本店所在地を神戸から大阪に移す(その後、中国、九州、東北、北海道、四国に相次いで支店を開設。1966年には計44支店になる)
- [ジーンズメイト]衣料品製造卸売業の西脇被服本店を児島に設立
- [鈴屋]銀座にみゆき店(ベルブードアの前身)を開店し、チェーン化に着手
- [帝国人造絹糸]テイジン・メンズショップ設立
アパレル産業
- 日本メンズファッション協会(MFU)、任意団体として発足。年間テーマに「ハイスピリット・カラー」を掲げた
- 東洋連が初の洋品海外見本市を香港で催す
- デザイナーと顧問契約するアパレル卸商が増える
- 現金卸商以外のアパレル卸商のほとんどが「3点セットの取引」に移行
- 厚木編織(株)を厚木ナイロン工業(アツギの前身)に社名変更
- ヴァン・ヂャケットがアイビー・モデルを既製品として導入
- 栄光商事が米国リー社と代理店契約を結び、ジーンズの輸入販売を開始
- 海渡(エトワール海渡の前身)が素人売り防止のため、取引小売店の登録制を導入し、カードを発行
- 勝根又商店が商号を(株)勝根又(大賀の前身)に変更
- 樫山(オンワード樫山の前身)が社員に臨時賞与として株式を分与。*東証・大証2部上場(上場時250円が翌年2月には2600円に)
- 片倉工業が韮崎製糸所をメリヤス肌着製造に転換(メリヤス事業開始)
- 生地商の小泉がアパレル部門を設置、社屋新築(小泉アパレルの前身)
- 生地卸商の新保が婦人既製服の(株)コマンド設立
- 東京ブラウスがパリ・オフィス設立
- マルオ被服(ビッグジョンの前身)がオリジナル企画による国産ジーンズブランド「ビッグジョン」を発表
- 芦森工業が合成繊維重布の製造を開始
- 世界最大手の不織布メーカー英フロイデンベルグ社、大日本インキ製造(現・DIC)、東洋レの3社合弁で日本バイリーン(株)設立。*西独カールフロイベンデルヒ社から不織布製造技術導入認可
- 倉敷レが日本ベルクロ設立。*日本ベルクロが面ファスナー「マジックテープ」を事業化
繊維・テキスタイル産業
- イデア京都(京都スコープの前身)開催始まる
- 綿紡の操短率が24.5%(うち15%格納)となる
- 原綿輸入自由化に備え紡績安定協力会を結成
- 繊維品輸出会議が35年度の綿糸布輸出目標を決定する(綿糸3,865万9,000ドル、綿布3億1,204万7,000ドル)
- 繊維3業界の首脳会談で過剰紡機の格納率を決める(綿紡13.95%、スフ紡12.7%、合繊紡6.1%、梳毛紡12.18%%)
- 化繊協会がPR映画「日本のレーヨン工業」製作
- 東洋レグループ、三菱レグループ、東洋紡グループがそれぞれ伊モンテカティーニ社とポリプロピレン製造技術導入契約を締結
- ポリノジック繊維(強力レーヨン)の企業化活発
- 合繊各社、デザイン分野強化のために一流デザイナーと顧問契約
- 帝人商事が竹村綿業と合併、竹村帝商(帝人商事の前身)発足
- 日綿実業(ニチメンの前身)が田附(株)を合併。・*日信商事(ニチメン・ファッションの前身)を設立
- 倉レが岡山工場でビニロンFプラント完成(日産3.2トン)
- 東邦レがアクリル生産開始
- 東洋紡が二見工場で連続自動紡績装置(CAS)を初公開
- 徳山曹達が国産技術でポリプロピレン生産に成功
- 麻紡の東洋繊維がトスコに改称
- 大日本紡績(ニチボーの前身)がオリオン毛糸を廃止し、ニチボー毛糸に絞る
繊維・ファッション行政
- 繊維総合対策審議会が繊維輸入自由化対策を答申
- 大蔵・通産両省が商社の外貨持ち高集中制を実施
- 繊維工業設備審議会で過剰紡機の合繊紡績への転換が認められる
- 「繊維工業設備臨時措置法」の改正・延長(過剰設備処理、アウトサイダー(規制などを追加、3年間延長)
- 通産省が操短率を綿15%、梳毛36%、スフ綿18%と決定
- 通産省が無登録紡機の取締強化方針決定
- 通産省が257品目の貿易自由化を実施(繊維品・紙製品59品目。ただし重要なものは含まれず)
- 通産省が過剰紡機の格納に関する共同行為を指示
- ワイシャツのJISマーク表示制度告示
政治・経済・社会
- カメルーンが独立
- 閣議が貿易為替自由化促進会議の設置を決定。その初会合で貿易為替自由化の基本方針を決定
- 藤山愛一郎外相・米大使の安保改定交渉妥結
- 岸首相ら新安保条約調印全権団が米国へ出発。全学連500人が羽田で座り込み、77人検挙
- ワシントンで新日米安全保障条約・行政協定調印
- 民主社会党結成大会開催(委員長に西尾末広を選出)
- 三井鉱山が三池鉱ロックアウトを宣言。労組無期限ストへ
- 仏がサハラ沙漠で初の原爆実験成功。世界で4番目の核保有国に
- 大蔵省が渡航外貨の制限緩和・雑送金自由化など為替自由化措置を決定
- 日銀が公定歩合1厘引き下げ(日歩2銭→1銭9欄)
- 東証で旧ダウ平均が1000円の大台を突破
- 日ソ貿易協定調印
- EFTA(欧州自由貿易連合)が域内間の第1回関税引き下げをまず20%と発表
- 三池労組分裂、第2組合結成
- 社会党臨時大会開催(委員長に浅沼稲次郎を選出)
- 三池鉱山で第2組合員が就労しようとしたため、新旧組合員が大乱闘。翌日、暴力団が大挙して第1組合員を襲撃し、1人が殺害される
- 安保阻止国民会議、第15次統一行動(~4.26)
- 韓国で学生と民衆が李承晩大統領退陣要求デモ。李大統領、辞表提出。自由党政権崩壊(4・19革命)。李承晩がハワイに亡命。張勉の民主党政権樹立
- 沖縄県祖国復帰協議会結成(屋良朝苗会長)
- 米のU2偵察機をソ連がミサイルで撃墜、パイロットが拿捕される
- 韓国が対日輸入制限を撤廃
- 政府・自民党が衆院で質疑打ち切りを強行、警察官導入。翌日未明、新安保条約を自民党単独で強行採決(以後、国会は空白状態)
- 安保阻止国民会議、第16次統一行動(17万人のデモ隊が国会を包囲)
- 大蔵省が外資導入の緩和措置を実施
- 安保改定阻止第1次実力行使に全国で560万人参加
- 米大統領秘書ハガチー来日。羽田でデモ隊に包囲され、ヘリコプターで脱出。翌日離日
- 安保改定阻止第2次実力行使に全国で580万人参加(~6.16)。全学連主流派が警官隊と衝突、東大生樺美智子死亡
- アイゼンハワー米大統領の訪日中止
- 安保改定阻止統一行動。33万人が徹夜で国会を包囲するなか、翌午前零時に新安保条約は自然承認
- 新安保条約批准書交換・発効。岸首相が閣議で退陣の意志を表明
- 政府が貿易為替自由化大綱を発表(3年後自由化率を30%に)
- 政府全体の広報センターとして総理府に広報室を設置
- コンゴ共和国独立
- クウェートが英国の保護から独立
- 日独新貿易協定調印
- コンゴのカタンガ州首相が分離独立を宣言(コンゴ紛争始まる)
- 岸内閣総辞職。第1次池田内閣発足(初の女性大臣に中山マサ厚相)
- 米が潜水艦からのポラリスミサイル水中発射に成功
- 中ソ国境紛争起こる
- 中労委が三井争議に斡旋案提示。炭労臨時大会が受諾を決定。争議解決
- キプロスが英国から独立。共和国となりイギリス連邦に加入
- 日銀が公定歩合1厘引下げ(日歩1銭9厘となる)
- 周恩来中国首相が対日貿易3原則打ち出す(政府間協定、民間貿易、個別的な配慮)
- カストロ暗殺計画失敗(CIAに雇われた元FBI捜査官がギャングに暗殺を依頼)
- 政府が鉄鋼など257品目の輸入自由化を発表(自由化率44%)
- ラオス内戦本格化
- イランなど中東産油国とベネズエラの5か国が石油輸出国機構(OPEC)結成
- 3党首立ち合い演説会(日比谷公会堂)中、浅沼稲次郎社会党委員長が右翼少年山口二矢に刺殺される
- 衆議院解散(安保解散)
- 経済審議会が国民所得倍増計画を答申
- 米大統領に民主党のケネディが当選(ニクソンを僅差で破る)
- 第29回総選挙(自民296、社会145。民社が惨敗し17)
- 米国がドル防衛の緊急対策を発表
- 第2次池田内閣成立
- 国連総会が植民地独立宣言を採択
- 西側20カ国がOECD(経済協力開発機構)条約調印(正式発足は翌1961年9月)
- 南ベトナム解放民族戦線結成
- 閣議が国民所得倍増計画を決定(10年間で所得を倍増。10年後の45年度国民総生産26兆円,年率7.8 %の成長率を想定)
- 海外経済協力基金法公布
- アフリカでリビア、ガーナ、ソマリアをはじめ17か国が独立し、「アフリカの年」といわれる
- 国際収支の好転とともに外貨準備も急増
- 米国は戦後4回目の景気後退期
- 経済白書の副題「日本経済の成長力と競争力」
- (第4景気循環上昇期続く)