1968年(昭和43年)
ビック・トピックス
- いざなぎ景気3年目、高度成長つづく(実質成長率11.9%)
- 日本のGNPが自由経済圏第2位に
- 全国115大学で学園紛争勃発
- 日米綿製品新協定調印(輸出自主規制)
- メンズスーツの既製服化率が50%を突破
生活・文化
- 東大医学部学生自治会が医師法改正に反対して無期限ストに突入(東大紛争の発端)
- 紀元節復活・靖国神社国営化・明治百年祭に反対する中央集会開催
- 金嬉老が清水市内で2人を射殺して逃走。寸又峡温泉で13人を人質に篭城。逮捕(金嬉老事件)
- 東大全学共闘委員会が安田講堂を占拠。卒業式中止
- NHKがカラー受信料を新設。ラジオ受信料は全廃
- 米国の黒人運動指導者キング牧師暗殺、全米で黒人の抗議行動発生
- 東京・千代田区に霞ヶ関ビル完成(36階建て、147m、初の超高層ビル)
- 国税庁が日大で20億円の使途不明金と発表(日大紛争の発端)
- 電話加入1000万を突破(世界第2位)
- 厚生省がイタイイタイ病について三井金属工業の責任を明示、公害病と正式に認定
- 十勝沖地震(M7.9)発生、死者52人
- 消費者保護基本法施行
- 米軍ジェット機が九州大学に墜落
- 東大で青医連が安田講堂などを占拠。全学部に紛争拡大。東大全共闘が安田講堂を再占拠
- 文化庁発足(初代長官は作家の今日出海)
- 郵便番号制度発足
- 電電公社(NTTグループの前身)がポケットベル(ポケベル)のサービスを開始
- 厚生省が平均寿命男68.9歳、女74.1歳と発表
- 札幌医大で日本初の心臓移植手術(患者は約50日後に死亡。臓器提供者が脳死状態だっかが問題になり、医師は殺人罪で起訴)
- 岐阜県加茂郡で観光バス2台が飛騨川に転落、死者104人
- 国際反戦デーのこの日、全学連学生らが防衛庁や国会構内に乱入し新宿駅に放火(新宿騒乱事件)
- 厚生省が水俣と新潟の水俣病を公害病と認定
- 日大全学共闘会議系大学生1万人が古田重二良会頭と徹夜で大衆団交
- 交通違反点数制度実施
- プロ野球阪神の江夏豊投手が奪三振401個の世界記録
- 米アポロ7号」打ち上げ(アポロ計画で初の有人飛行)
- 第19回メキシコ・オリンピック開催(日本は金11、銀7、銅7。男子マラソンで君原健二が銀メダル。サッカーで銅メダル)
- 北九州市が米ぬか脂中毒でカネミ倉庫製油部に営業停止を通達(カネミ油症事件)
- 明治百年記念式典開催
- 昭和宮殿の落成式挙行
- 沖縄嘉手納基地で、ベトナムへ発進直前のB52爆撃機が爆発炎上
- 亜硫酸ガスの排出基準を閣議決定
- 東大駒場祭に「とめてくれるなおっかさん」のポスター
- 大気汚染防止法、騒音規制法施行
- 東京・府中市で3億円強奪事件発生(1975年12月時効成立)
- 川端康成がノーベル文学賞受賞
- 米アポロ8号が史上初の月の有人周回飛行に成功。初めて月面の様子をテレビ中継
- 東大法学部学生大会がスト解除を決議
- 東大、東教大が1969年度の入学試験中止を決定
- 国際収支の黒字基調が定着
- 全国115大学で学園紛争勃発
- マンションブーム起こる
- 劇画ブーム起こる
- ティーンズにシンナー遊び激増
- 新商品=トリニトロンカラーテレビ(ソニー、11万8000円)、ラジオ付きカセットテープ(ラジカセ)、全自動食器洗い機、フロアヒーター、家庭用除湿器、全自動トースター、トニックシャンプー、ちふれ化粧品、ウナコーワ、出前一丁、サッポロ一番みそラーメン、ボンカレー、かっぱえびせん、明治カール、人生ゲーム
流行語
ゲバ、ノンポリ、ノンセクト、大衆団交、五月病、サイケ、ハレンチ、PCB、ずっこける
物価
ビール120円→127円(5月)→130円(9月)、かけそば70円、ピース(たばこ)40円→50円
ファッション
- 東洋レ、帝人がカラーシャツ・キャンペーンを本格展開
- 東洋レが「シルック5年祭」でアンドレ・クレージュによるファッションショーを開催。シースルールックを披露
- カラー:サイケカラー、ブリリアントカラー、ファンタジックカラー
- コーディネート・ファッション一般化
- カジュアルウェアが話題になる
- スカート丈多様化(マイクロミニ、ミディ、マキシ登場)
- パンタロンスーツ全盛
- 30年代ルック流行
- ポップファッション、サイケデリックファッション流行
- ユニセックス化が進展
- 紳士服にニューボールドルック流行
- ピーコック革命、スポーツウェアに顕著
- ヤングにジーンズ定着
- ヒッピールック上陸
- ペーパードレス登場
- ブラスリップ登場、花柄のファンデーション人気
- パンティストッキング登場
- スパンデックス使いのファンデーションが急増
- 男性の長髪が流行し始める
- 映画「俺たちに明日はない」で、ポニールック、クライドルック登場
- 尾原蓉子訳『ファッションビジネスの世界』発刊、「ファッションビジネス」「ファッション産業」の語広がる
- サンローランがシースルールック、ジャンプスーツ発表
- ウンガロがレイヤードルック発表
- ロンドンのカーナビー通りが注目され始める
Fジャーナリズム
「SEVENTEEN」創刊
ファッション小売業
- 量販店の売上高が百貨店を抜く
- 小売諸団体が大型スーパー規制の決起大会開く
- 日本商工会議所が大型小売商問題の特別委員会設置
- 日本レディスモードチェーン(VC)発足
- [伊勢丹]本店に「男の新館」開店。*パリ駐在事務所開設
- [西武百貨店]*池袋店に隣接する東京丸物を買収。*渋谷店開店。*アバンギャルドショップ「カプセル」開店
- [大丸]発送代行業務の子会社大興運輸を設立
- [高島屋]「タカシマヤ・クレジットカード」を発行
- [三越]銀座店がヤング路線で新発足。*枚方店開店(2005年閉店)
- [いずみや]堺市に本格的SC「中百舌鳥SC」オープン
- [ジャスコ]オカダヤがマルサ(浜松)、浦柴屋(豊橋)が合併。*岡田屋とフタギが合併を前提に業務提携。*岡田屋とフタギの提携にシロも参画(ジャスコの発足は翌1969年)
- [西友ストアー]三井物産とリース提携を発表
- [ダイエー]香里SC、茨木SCを同時オープン
- [ニチイ]赤のれん、市雅グループと企業合同。*婦人服専門店「エルメ」設立(量販店初)
- [ジーンズメイト](株)西脇が東京・蛎殻町に東京支店を開設(当時は卸売専業)
- [スリーエム]メンズ月販店として、チェーン第1号店を開店
- [レリアン]レナウン、三菱レ、伊藤忠が共同出資して婦人服専門店レリアンを設立
アパレル産業
- 東洋レが市場細分化戦略を提唱(第1弾は具体的なTPO。多ブランド戦略に理論的根拠と分類基準を提供)
- メンズスーツの既製服化率が50%を突破(レディススーツの既製服化率50%突破は1971年)
- マクルーハン旋風がアパレル業界にも波及
- 「情報産業」「付加価値産業」が叫ばれ始める
- 東京婦人子供既製服製造工業組合を、東京婦人子供服工業組合に改称
- 名古屋ワイシャツ協同組合設立
- 日本ワイシャツ組合連合会設立
- 厚木ナイロン工業(アツギの前身)がパンティストッキングの生産を開始
- 片倉工業が片倉ハドソンを吸収合併(衣料品の製造・販売業務、貿易業務を継承)
- パリナがキャンに商号変更
- グンゼがパンスト「シアペーヌ」発売
- 小杉産業(コスギの前身)がジャック・ニクラウスとライセンス契約(戦後のライセンス契約第1号)
- 川端康弘がジオン商事を輸入婦人服卸商として大阪に設立
- ジュンが「ROPE(ロペ)」ブランドを立ち上げ、レディスファッション分野進出
- 松田光弘が青山に直営店ブティック「NICOLE」オープン
- 野村(ルシアンの前身)が婦人既製服事業に進出
- レナウンが商品企画室にマーチャンダイザー制度を導入。*婦人服専門店レリアンを設立。*米ボピーブルックス社と提携し、アメリカン・カジュアルの「ボビーブルックス」を展開。*メンズ・レディスのポロシャツを大々的に展開
- ワールドがブランド「ワールドコーディネート」(コルディアの前身)を発表(コーディネートブランド普及の発端)
- 芦森工業のシートベルトが米国FMVSS認証取得
繊維・テキスタイル産業
- 紡協が構造改善推進特別委員会の設置を決定
- レーヨンS設備共同廃棄
- 毛糸買上機関として毛振会社設立
- 特繊法にもとつく精紡機一括廃棄に化繊協会、紡協が合意
- ポリエステル繊維8社体制となる
- 米国の輸入課徴金に反対して、主要繊維12団体が「対米繊維輸出対策協議会」(日本繊維産業連盟の前身)を結成
- 紡協が100万錘目途の過剰紡機一括廃棄計画を決定
- 日本の合繊生産が日産2000トンを超える
- 世界の合繊生産高378.1万トン、初めてレーヨン、アセテート生産高(353.2万トン)を上回る
- レーヨンS構造改善実行委が廃棄業者に対する補償金、残存業者の負担金決定
- 大原総一郎没(倉紡・倉レ社長、59歳)
- 日商と岩井産業が合併、日商岩井誕生
- 住江織物が新宮殿(豊明殿)に手織緞通、丹後緞通を納入
- 酒伊繊維工業(サカイオーベックスの前身)が東洋レのチョップ生地「V-5」(ポリエステル加工糸織物の防汚加工)の開発に成功し、量産を開始
- 福井精練(セーレンの前身)が染色作業の標準化「染色マニュアル」を完成。*ポリエステルニットのプリント開始
- 日本クロス(ダイニックの前身)が新鋭染色機サーキュラーを設置し、本格的に加工糸織物の染色に進出
- 近江絹絲紡績が社名をオーミケンシに改称
- 鐘紡がポリエステル生産開始
- 倉紡の岡山工場がテトロン加工糸に着手。*津工場がスイス・スルザー革新織機導入開始。*クラボウ・カジュアル・フェアを開催
- 倉レが独ヘキスト社と衣料用ポリエステルフィラメントの製造技術導入契約締結
- 大和紡が空気精紡糸および同織物の販売開始。*福井工場が空気精紡機44台設置完了(世界初の量産工場)
- 帝人の徳山工場操業開始(テトロン)。*韓国へ進出し鮮京合成繊維設立(日産31t)
- 東亜紡がトーア紡カーペット加工を設立
- 東洋紡がK6繊維(プロミックス繊維)「シノン」発売。*赤穂工場が無杼織機DSL36台設置
- 東洋レがアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の試作に成功。*「ムービイ」(テトロンかさ高性異デニール混繊糸織物)販売開始。*「エルダー」(熱融着繊維)、「ハイソフィ」(テトロン加工糸織物)販売開始
- 日レが宇治工場でベンゾエート繊維「栄輝」生産開始
- 日本エステルがポリエステル生産開始
- 三菱レが新光エステルを設立。*三菱ボンネルを合併
- 米デュポン社が新ポリアミド繊維「キアナ」発表
- 韓国鮮京化繊がアセテート生産開始
- 韓国大韓合繊が米国ケミテックス社の技術でポリエステル生産開始
繊維・ファッション行政
- 日米綿製品新協定調印
- 通産省が短繊維紡績の設備廃棄共同行為を指示(期間1968年8月~69年3月)
- 通産省が特定精紡機の処理に関する省令公布
- 公取委が量販店の二重価格表示問題に乗り出す
- 通産省と繊維業界が米の輸入課徴金案に反対声明
- 米が輸入課徴金制度実施見送り
- 公取委がうそ表示追放に表示改善強力委員制度を設置
- 米ニクソン大統領候補が「毛・化合繊・混紡を含む繊維製品の輸入割当に関する国際協定」の交渉を公約
- 通産省と繊事協が68年度特定紡績業構造改善実施計画に基づく転廃業紡機買取りを公告
- 「繊維製品取扱いに関する表示記号」(絵表示)、JIS制定
政治・経済・社会
- ジョンソン大米統領がドル防衛声明
- チェコスロバキア共産党第一書記にドブチェク選出(「プラハの春」が始まる)
- 日銀が公定歩合1厘引き上げ
- アラブ石油輸出国機構(OAPEC)結成
- 米原子力空母エンタープライズが佐世保に入港。反対運動起こる
- 南ベトナム全土で解放勢力が大攻勢を開始(テト攻勢。サイゴンなどが戦場になり、一時は米国大使館も占拠された)
- 米琉球高等弁務官が琉球政府主席の直接公選制を認めると言明
- 沖縄嘉手納基地にB52爆撃機飛来、連日増加。立法院本会議で即時撤退要求を全会一致で可決
- 紀元節復活・靖国神社国営化・明治百年祭に反対する中央集会開催
- 社・公・共3党が日本の非武装と核兵器禁止の決議案を提出(審議未了)
- ロンドン、パリ市場でゴールドラッシュが再燃(金市場6日間閉鎖)
- 米国が公定歩合を 4.5%から5%に引き上げ、NY証券市場大活況
- 南ベトナムのソンミで米軍による大虐殺事件起こる(ソンミ事件。責任者のカリー中尉は終身刑に)
- 金二重価格制を採用
- ジョンソン米大統領が北爆の部分停止を宣言、和平交渉を呼びかけ、次期大統領選不出馬を表明
- 日通事件発生(日本通運の乱脈経営と国会質疑の口封じ贈賄疑惑で、東京地検が前社長を逮捕。そのあと自民・社会両党からも逮捕議員が出た)
- 政府が三派全学連デモ対策に対し破防法適用は見合わせ騒乱罪適用を準備する方針を決定
- 米がネバタ州で大規模な地下核実験
- パリで北ベトナムと米がベトナム和平の会談
- パリの学生・労働者がゼネスト。全仏に拡大(5月革命)
- 技術導入自由化(石油化学、原子力、航空機など7分野以外を自由化)
- 次期米大統領候補のロバート・ケネディ上院議員が狙撃され、翌日死亡
- 小笠原諸島が日本に復帰(東京都小笠原村になる)
- 核拡散防止条約に62か国が調印(日本は1970年2月に調印)
- 米・EC・日本など14か国がケネディ・ラウンドによる第1回関税引き下げ実施(関税率50%引き下げ)
- EEC関税同盟発足
- 第8回参院選挙(自民69、社会28、公明13、民社7、共産4、無所属5。石原慎太郎がトップ当選のほか、青島幸男、今東光、大松博文、横山ノックなどタレント議員が多数当選。社会党後退)
- イラクでバース党のバクル将軍が軍事クーデター、石油の外国支配排除を声明
- 日銀が公定歩合を1厘引き下げ
- ソ連を中心とするワルシャワ条約機構軍がチェコに侵攻(チェコ事件。「プラハの春」が終わる)
- 日米自動車交渉妥結(部品の輸入自由化と大型車の関税引き下げで日本が譲歩)
- 政府が消費者米価を平均8%値上げ決定(生産者米価は 5.9%引き上げ)
- 日銀が窓口規制の撤廃を決定,東証旧ダウ 1800円台乗せ
- 三井高圧化学発足。日商岩井発足
- 社会党大会で委員長に成田知巳、書記長に江田三郎を選出
- ジョンソン米大統領が北爆停止などを表明
- 琉球政府主席に革新統一候補の屋良朝苗が当選
- 毛沢東が劉少奇(元国家首席)から全職務を剥奪し、共産党を除名
- 米大統領選挙、共和党のニクソンが当選
- 第2次改造佐藤内閣成立(愛知揆一外相、福田赳夫蔵相)
- 日本のGNPが西独を抜いて自由経済圏第2位(1428億ドル)
- 国際収支の黒字基調が定着
- 米電子工業会、日本製テレビのダンピング提訴
- 綿製品につづき鉄鋼輸の対米輸出自主規制決定(1969年からの3年間、年5%の伸び率)
- 経済白書の副題「国際化のなかの日本経済」
- (第6景気循環の上昇期、「いざなぎ景気」続く)