1961年(昭和36年)
ビック・トピックス
- 岩戸景気がピークを記録するが、下期には下降
- ソ連の宇宙船、地球一周に成功(「地球は青かった」)
- クレジットカード時代始まる
- 半袖ドレスシャツ・ブーム(ホンコンシャツ、セミスリーブ)
- ストッキングはシームレスの時代へ
生活・文化
- 消費者団体などが物価値上げ反対懇談会結成
- 深沢七郎の『風流夢譚』は皇室を侮辱するものとして、右翼少年が中央公論社の嶋中鵬二社長宅を襲撃し、家人2人を殺傷(風流夢譚事件)
- 赤木圭一郎が日活撮影所内でゴーカートの事故で死亡
- 有田八郎元外相が『宴のあと』はプライバシー侵害だとして作歌三島由紀夫と新潮社社長を告訴
- 国鉄運賃値上げ実施
- ソ連の宇宙船ウォストーク1号が地球一周飛行に成功(ガガーリン「地球は青かった」と発言)
- 東京・東急バスに車掌不在のワンマンカーが初登場(代わりに料金箱設置)
- 大阪環状線が運転開始
- 那覇で祖国復帰県民決起大会開催(参加者2万人)
- ポンペイ遺跡(伊)で1900年前のベスビオ火山噴火によるミイラ数体を発見
- ケネディ米大統領が「1960年代のうちに人間を月に着陸させて無事帰還させる」と宣言
- 郵便料金引き上げ実施
- 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律公布(主要都市の警察にトラ箱設置)
- 南極条約発効(領有権の主張凍結、軍事利用禁止、科学的調査の自由、国際協力の推進が目的)
- 集中豪雨が31都道府県を襲い、崖崩れ6971個所、死者252人、行方不明133人
- 割賦販売法公布
- 作家ヘミングウェーが米アイダホ州の狩猟地で原因不明の死
- 小児マヒの生ワクチン開発が成功し、使用開始
- 大阪・釜ケ崎で群衆2000人が暴動
- チトフ少佐を乗せたソ連「ウォストーク2号」が地球を17周して帰還
- 松川事件の差戻し裁判で、仙台高裁が全員無罪の判決(1963年に最高裁で無罪確定)
- 日赤が愛の献血運動を開始
- 第2室戸台風で死者・行方不明者202人、家屋の全壊1万4681戸、半壊4万6662戸、流出557戸
- 国内空路にジェット機が初就航(東京−札幌ルート)
- 大相撲9月場所(優勝は大鵬)後、大鵬・柏戸が揃って横綱に昇進。柏鵬時代と言われ始める
- 欧州遠征の日紡貝塚女子バレーチームが24戦無敗で帰国(「東洋の魔女」といわれる)
- 文部省が中学2・3年生全員に全国一斉テスト(日教組は阻止をはかったが、9割の学校で実施)
- 災害対策基本法公布
- 厚生省が未成年への睡眠薬の販売禁止を通達
- 中央公論社が「思想の科学」天皇制特集(62年1月号)の発売を中止
- 東京・代々木の米軍住宅返還決定(跡地は1964年のオリンピック選手村になった)
- 実質経済成長率14.5%(高度成長期の最高)
- 国民皆保険・皆年金制度実施
- 日本消費者協会発足。初の商品テストを実施
- 全国日刊新聞発行部数2,510 万余の新記録(4月1日現在)
- クレジット・カード時代始まる(日本ダイナーズ・クラブ、JCBがスタート)
- レジャー・ブーム(スキー客100万人突破、登山者224万人)
- 証券ブーム
- 激化する交通戦争。交通事故死者が'史上最高の12,865人を記録
- イタイイタイ病にカドミウム原因説発表
- 四日市ぜんそく病多発
- 医師会一斉休診
- 新発売=マーブルチョコレート、クリープ、オロナミンCドリンク、トランシーバー、タイムスイッチ付き電気釜、ジューサーミキサー、電気かつお節削り器、普及型テープレコーダー(2万円)、電気温風器など
流行語
レジャー、物価倍増、交通戦争、時差出勤、不快指数、中間層、巨人・大鵬・卵焼き、「お呼びでない」、「トサカにくる」、「どーもすいません」、「申しわけない」、「ちーとも知らなかった」、「地球は青かった」、「ありがたや」、スイスイ、アンネの日、C調、現代っ子、プライバシー、ラリる、女子大生亡国論、ドドンパ、
ファッション
- 帝人のホンコンシャツ、東洋レのセミスリーブのキャンペーンで半袖シャツ・ブーム(140万枚販売)
- 東洋レが水着で「ジャンプ・ルック」キャンペーン
- スキーウェアで、東洋レは「ダイヤモード」、帝人は「チロリアン・トーン」のキャンペーンを実施
- 百貨店のカラー・キャンペーン続く
- カラー:サニートーンとフロスティートーン
- エレガントスタイルが主流になり、プリーツスカートが多くなる
- 「ニューコットン」発表、綿製品の高級化進む
- セーターとスラックスが若者に人気。セーターは大きい目のヒップが隠れるもので強烈な色のもの
- ジャージーが人気上昇(ウールプリント物人気)
- フラッパースタイル登場
- 刺繍物に人気(ラムのセーター、スリップ、ヤング向けのバルキーソックスなど)
- 夏にムームーが流行
- 合繊肌着、男性用色物肌着登場
- FFストッキングからシームレスへと移行急ピッチ
- フォーム・ラミネート衣料が登場
- シフォン・スカーフ台頭
- 合成皮革のバッグ登場
- 女性の靴は先の四角いフレンチ・タイプが秋ごろから流行
- アンネナプキン発売
- 資生堂がサンオイル発売(太陽で肌を焼く欧米の習慣が日本にも波及)
- モデルの松本弘子がカルダンに招かれて渡仏
- パリ・オートクチュール会員34店のうち11店がプレタポルテを発表
- マリー・クワントのミニスカートに人気
- クレージュ、フイリップ・ブネがパリに開店
- 米国でメンズのロンドンルックが流行
ファッション小売業
- 伊勢丹主宰の百貨店共同仕入機構「十一店会」発足(1973年にADOに発展)
- 西武百貨店主宰の日本百貨店共同仕入機構「JMA」発足
- 百貨店のカラー・キャンペーン激化(伊勢丹/イタリアン・ブルー、西武百貨店/コントラスト・シェード、高島屋/ブルー・パレード、松坂屋/フロスティ・トーン、三越/アンシンカブル・カラー・コンビネーション)
- 百貨店と海外デザイナーの契約続く(松阪屋/ニナ・リッチ、松屋/ミシェル・ゴマ、阪急/ジャンヌ・ランバンなど)
- 東レサークル発足(325店参加、65年668店に)
- [伊勢丹]伊のイレーネ・ガルチン、エミリオ・プッチを招いてショー開催
- [小田急百貨店]会社設立(開店は翌1962年)
- [京王百貨店]鶴見東店開店
- [大丸]三越を抜いて日本の小売業界売上NO.1を達成。(1960年下期から1968年下期まで連続)
- [西武百貨店]プレタポルテ導入
- [赤札堂]「東天紅」開店(量販店初のレストラン業進出)
- [イトーヨーカ堂]ヨーカ堂の伊藤雅俊が欧米流通業を視察し、帰国後レギュラー・チェーン政策に着手
- [ダイエー]年商50億円突破
- [東光ストア]日本初の配送センター完成
- [長崎屋]チェーン店10店達成(神奈川・東京・埼玉)
- [銀座かねまつ]丸の内で「世界の靴とバッグのモード展」開催、業界にも公開。*銀座6丁目店(現・本店)開店
- [しまむら]島村呉服店が本社を東松山に移し、セントラルバイイング制を採用して、チェーン化への基礎を築く(店舗数6店舗)
- [鈴屋]全商品に「SUZUYA」のネームを付し、オリジナル商品の発注を開始
アパレル産業
- MFU(ジャパン・メンズ・ファッション・ユニオン)設立
- 東京メリヤス卸商業組合設立
- 第1回ベルトまつり開催
- 三大合繊の繊維二次製品(アパレル)投入進む
- 生地卸商の繊維二次製品(アパレル)進出始まる
- 毎日マラソンでオニツカ(アシックスの前身)のシューズを履いたアベベが優勝
- 厚木ナイロン工業(アツギの前身)が本格的な全国販売網確立のために厚木ナイロン商事を設立(社長・常務は東レ・蝶理から出向)
- 栄光商事が青山本店をオープン
- 海渡(エトワール海渡の前身)が本館(現ファッション館)オープン。馬喰町問屋街最大の卸店舗に
- 常見米八商店が商号をエドウインに変更。*アメリカからデニムを輸入して国内縫製開始し、「EDWIN」ブランドを発表
- 生地商の三永(サンエー・インターナショナルの前身)がアパレル事業部を発足させ、婦人既製服製造卸業を始める
- 石本商店が奈良県吉野郡に吉野工場設置。*デサントに社名変更
- 現金卸商の都繊維がモック設立
- 野村商店(ルシアンの前身)が婦人既製服「ルシアン・モネ」発表
- レナウン商事がテレビ宣伝を開始し、CMソング「ワンサカ娘」がヒット(作曲/小林亜星、歌/デュークエイセスとかまやつヒロシ)
繊維・テキスタイル産業
- 生糸相場暴落
- 繊維相場、一斉下落
- 東京織物卸商組合が初の海外流通研修団欧米へ
- 御園生等東洋大教授『総合商社は斜陽であるか』発刊、商社で話題となる
- 原糸メーカー最盛期(商社はその販売部門という時代)
- 第2室戸台風によって中京地区の工場被害
- 紡協が不況克服のため時局対策特別委を設置
- 綿製品輸出振興組合が市中綿布に買出
- 学校法人大阪繊維工業高等学校設立が認可される(1962年4月開校)
- 東洋レ、帝人がテトロン系列(製織、染色、毛混など)確立
- テトロン学生服、東洋レ・帝人合計で300万着になり、 ビニロン学生服を抜く
- 各社のポリエステル繊維技術導入契約相次ぐ(日レ/スイスのイベンタ社・エムス社、東洋紡/米グッドイヤー社・コムテックス社・デュポン社、倉レ/米ケミストランド社)
- I C Iジャパン社が東洋紡、日レ、倉レなどの導入したポリエステル繊維技術は特許侵害と見解発表
- 東レ、三菱レ、東洋紡の3社がポリプロピレン繊維の共同商標を「パイレン」と決定
- 貝原織布(カイハラの前身)が世界初の48インチ幅「絣入りサロン」を開発し、アデン向けにサロンを輸出。
*ウール素材の着尺用ウール小幅絣を備後で初めて製造開始(東洋綿花から受注) - 小松精練加工丸の内工場に捺染専用工場完成
- 伊藤忠が商品本部制を最初に実施。*森岡興業を合併
- ニチメンが中国から総合商社初の友好商社に指定される
- 鐘紡が鐘淵化学工業の化粧品事業を譲り受け、カネボウ化粧品を設立、全国に14販社を設立。*伊スニア・ビスコーザ社とナイロン技術導入仮調印。*武藤会長が社長に復帰(田中社長辞任)。*グレーター・カネボウ建設計画を決定
- 倉紡がポリエステルと麻混紡生地開発。*スフ紡績を中止
- 倉レが倉敷工場で原液染レーヨン糸生産開始
- 大和紡がムームー発売
- 帝国人造絹糸(帝人の前身)が輸出促進のためのショーをバンコクで開催
- 東邦レが東邦ベスロンを設立
- 東洋紡が西独チンマー社とナイロン技術導入契約締結
- 日清紡がウォッシュアンドウェア加工綿布「ベスター」発売
- 米デュポン社がスパンボンド不織布を開発
繊維・ファッション行政
- 対米綿製品輸出規制の政府間交渉開始
- 通産省が過剰精紡機の長期格納に関する業界の共同行為の実施を指示(6・30、9・30、12・23再指示)
- 原綿・原毛の輸入自由化施行。輸入外貨割当制を自動承認制(AA制)に移行
- 繊維品輸出会議が36年度目標を12億251万ドルと決定
- 資本自由化実施
- ケネディ米大統領が米国繊維産業援助7項目計画を発表し、国際繊維会議の開催を提唱
- ジャカルタで第3次日本・インドネシア綿製品供給協定調印
- 通産省が輸出別枠制度採用
- 政府が輸出振興策を決定(輸出表彰制度新設、輸出金融・保険の充実など)
- GATT主催のもとにジュネープで綿製品国際貿易会議を開催し、「綿製品国際貿易に関する短期取り決め」(1年間)を作成
- 政府が輸入抑制のため輸入担保税を引上げ
- 綿製品対米輸出自主規制調印(1962年規制は60年の11.2%増)
政治・経済・社会
- 米国、キューバと断交
- ケネディが第35代米大統領に就任(43歳で歴代最年少。初のカトリック系大統領。ニューフロンティア精神を強調)
- 日銀が公定歩合1厘下げ
- 社会党、構造改革論を軸とする新活動方針を決定し発表
- 社会党大会、新委員長に河上丈太郎を選出
- 輸入品目自由化拡大、原綿・原毛ほか530品目を自動承認制へ
- 大蔵省が資本取引自由化措置決定
- 米CIAによって組織された反カストロ派亡命キューバ人部隊がキューバのコチノス湾に侵攻
- 米駐日大使ライシャワー着任
- 大蔵省が証券界の行政指導に乗り出す(4大証券に資金計画の提出を要請)
- カストロ・キューバ首相が社会主義国家を目指すと宣言(ハバナ宣言)
- 米国がベトナムに400人の特殊部隊を派遣
- 韓国で軍事クーデター、張都暎ら軍部が政権掌握。反共法を公布。張勉内閣総辞職
- 南アフリカ連邦が南アフリカ共和国に移行。同時にイギリス連邦から脱退して独立
- 自民・民社両党が「政治的暴力行為防止法案」を衆議院で強行可決。衆議院議長の斡旋で継続審議(62.5.7.廃案)
- ケネディ・フルシチョフ会談、ラオス中立化で合意
- 小坂善太郎外相が米大使とガリオア・エロア債務返済に関する覚書に署名(1962年に正式調印)
- 防衛庁設置法・自衛隊法改正公布(増員、陸自13師団に改編など)
- 農業基本法公布
- 原子力損害賠償法・同賠償補償契約法公布(原子力事業者の無過失賠償責任などを規定)
- 日米首脳会議。池田・ケネディ共同声明(日米貿易経済合同・教育文化・科学の3委員会設置に合意)
- 韓国の張都暎失脚。国家再建最高会議で朴正煕少将が実権掌握、軍政継続
- 日朝友好協力相互援助条約調印
- 国防会議が第2次防衛力整備計画を決定
- 株式市場が旧ダウ平均1829円の史上最高値を記録(1か月後には一転暴落。 12月には1300円を割る)
- 日銀が公定歩合1厘引上げ,再び金融引締めへ
- 共産党第8回大会で反帝反独占の民主主義革命路線の綱領を採択
- 国際収支悪化、物価上昇
- 東独が「ベルリンの壁」を構築
- ベオグラードで非同盟諸国首脳会議開催。新旧植民地主義反対などの宣言を発表
- 米国がネバダ州で地下核実験を実施
- ハマーショルド国連事務総長がコンゴの首都を飛び立って北ローデシア(現=ザンビア)に向ったが、謎の墜落事故で死亡
- 米ソが全面完全軍縮の目標承認で合意。軍縮8原則を共同宣言
- 政府が貿易自由化繰り上げを決定(自由化率90%目標に)
- 日銀が公定歩合1厘再引上げ,預金準備率を引き上げ
- 経済協力開発機構(OECD)が発足。パリで第1回理事会
- 東証・大証・名証で市場第二部発足
- ソ連共産党大会開催。スターリン主義の一掃始まる
- 第6次日韓会談開始
- 初の日米貿易経済合同委員会開催(貿易自由化促進へ)(日米箱根会談)
- 外資準備高15億ドル割る
- ビルマのウー・タント代表がアジア人として初めての国連事務総長に選ばれた
- 通産省が水島・徳山両市に石油化学センター設立認可の方針を決定
- 池田首相が15日間にわたる東南アジア4カ国歴訪に出発
- 公明政治連盟が発足
- ケネディ米大統領がダレスCIA長官を解任。後任にマッコーン
- ソ連がアルバニアと断交(アルバニア孤立化)
- 無戦争・無税・無失業を唱える旧軍人らの内閣要人暗殺陰謀が発覚、13人逮捕(三無事件)
- 那覇市長選で自民党の西銘順治当選(5年振りの保守派市長)
- インド軍がポルトガル領ゴアを占領
- 通産省が172 品目の輸入自由化を発表
- 実質経済成長率14.5%(成長経済のピーク)
- GNP、500億ドル超える
- 経済白書の副題「成長経済の課題」
- (この年の12月が第4景気循環のピークになる)