1958年(昭和33年)
ビック・トピックス
- 「なべ底不況」から脱して「岩戸景気」へ
- 皇太子明仁と正田美智子の婚約発表。ミッチー・ブーム起こる
- 参考上代・掛け率制などの新取引慣行が始まる
- サックドレスが爆発的人気
- アクリル(カシミロン、ボンネル)のセーターが台頭
生活・文化
- 大相撲の正月場所で若乃花が優勝し横綱昇進。栃錦とともに栃若時代と言われ始める
- 徳島県小松島港−和歌山港の紀阿航路定期船「南海丸」が風雨の中、淡路島南方で消息を絶ち、翌々日、沼島沖で沈没船体を確認、乗船者167人が遭難
- 米国初の人工衛星「エクスプローラ1号」打ち上げに成功
- 第1回ウエスタン・カーニバル、日劇で開催(平尾昌晃、ミッキー・カーチス、山下敬二郎がデビュー)
- 伊勢丹で初のバレンタイン・チョコレート発売(売れたのは30円の板チョコ3枚だけだったが)
- 日教組全国大会で、教師のモラル問題として「三ト追放」が叫ばれた(三ト=アルバイト、リベート、父兄からのプレゼント)
- 大衆車「スバル360」登場、マイカー時代の幕開けになる
- 関門国道トンネル開通(世界初の人道と車道の2階式。21年かかって完成)
- 東京・明治神宮外苑に国立陸上競技場が完成
- 売春防止法施行(遊郭廃絶)
- プロ野球開幕戦で、巨人の新人長嶋茂雄が金田正一投手(国鉄)に4打席4三振
- テレビ受信契約数100万突破
- 第3回アジア競技会、東京・神宮外苑の国立競技場で開催
- 大内兵衛らが憲法問題研究会を設立(参加国20か国)
- 阿蘇山が測候所開設以来の大爆発、死者12人
- 全日空機が伊豆沖で墜落
- 沖縄の通貨を軍票からドルに切り替えと発表
- 台風22号で、狩野川の氾濫など関東地方に大きな被害。死者・行方不明1269人、負傷者1138人、家屋全壊1289戸、半壊2175戸、流出829戸(狩野川台風)
- 上野-青森間(常磐線経由)に特急「はつかり」号が登場(東京以北では初の特急)
- 日本シリーズは巨人3連勝のあと西鉄4連勝で西鉄優勝(稲尾が6試合に出場し47イニングを投げ抜く)
- フラフープ発売開始(270円。大ブームになったが、腸捻転になるとの噂が広がって約2か月で下火に)
- 東京−新神戸間の特急こだま号運転開始(電車による初めての特急)
- 浅間山大爆発。小諸,軽井沢などで家のガラスが壊れる
- 宮内庁長官が皇室会議での皇太子明仁と正田美智子の婚約発表
- 日銀が一万円札発行(表面右に聖徳太子の肖像、中央すかしに法隆寺夢殿が配してあった)
- 東京・芝公園に東京タワーが完成(高さ333mで、当時塔では世界一の高さ)
- 「三種の神器」(洗濯機、冷蔵庫、テレビ)普及
- 証券ブーム始まる
- 映画が年間観客動員数11億2千余万人でピーク
- 8ミリ映写機が人気
- カミナリ族(革ジャンにヘルメット)登場
- ロカビリー流行、ロカビリー族出現
- 力道山人気
- NASA発足
- 新商品=大衆車「スバル360」、オートバイ「スーパーカブ」、ポータブル式テープレコーダー、家庭用換気扇、スチームアイロン、FMラジオ受信機、ステレオレコード、「チキンラーメン」、缶ビール(朝日麦酒)、缶入りコーヒー、粉末ジュース、「フレンチドレッシング」
流行語
イカす、いやーな感じ、一億総評論家時代、圧力団体、黄色いダイヤ(数の子)、三ト、シビれる、団地族、ながら族、ベッドタウン、すし詰め教室、ハイティーン、神風タクシー、白タク、カシミヤタッチ、「ご清潔でご誠実」、「私は○○になりたい」、「だから言ったじゃないの」
物価
大卒初任給1万3467円
ファッション
- カルダンがNDCと文化服装学院の招きで来日。公開講座で立体裁断の技術披露
- ミッチー・ブーム始まる(テニスウエア、ヘアバンド、カメオのブローチなど)
- カラー:ミネラルトーン、グレー進出
- モーニングスター・ブルー流行(映画「初恋物語」とレナウンのキャンペーン)
- サックドレスが爆発的人気
- ハイウエスト流行
- サマーウール人気、プリントブラウス人気
- ラメ糸入りの製品が大流行
- TCシャツ(テトロン綿混ワイシャツ)発売
- アクリル(カシミロン、ボンネル)のセーターが台頭
- ナイロン加工糸バンロンのセーター発売
- サマーセーター上昇
- シームレスストッキング登場(それまではシーム付きのフルファッションストッキングだけ)
- ボス柄(刺繍風の縦筋柄)メンズソックス全盛
- シルクウールのマフラー人気
- 初の合成皮革「エレガント」「エラスコット」発売
- 折り畳み傘出現
- 各デザイナーがズン胴型のラインを発表(サンローラン=トラペーズライン、カルダン=鉈ライン、バルマン=チューブライン、ギィ・ラロッシュ=試験管ライン、グリフ=シュミーズラインなど)
ファッション小売業
- 繊維消費税反対運動広がる
- 東京都繊維品小売商業組合設立
- 日本セルフサービス協会結成
- 日本セルフサービス協会がスーパーマーケットの定義発表
- 百貨店がティーンズ売場を続々開設(VANコーナーも新設)
- 西銀座デパート(SC)開業
- [伊勢丹]イタリアン・ファッション導入
- [そごう]有楽町店の不振で経営陣が交代、社長に坂内義雄(丸物)、副社長に若狭三良(大和銀行)と水島廣雄(日本興業銀行勤務)が就任(1960年に坂内社長死去、若狭が社長に着くが、62年には水島が社長になる)
- [高島屋]ニューヨークに開店(日本の百貨店として初の海外店舗)
- [東横百貨店]白木屋を吸収合併し、商号を東横に変更(日本橋店を白木屋、渋谷店・池袋店を東横百貨店と名乗る)
- [三越]イタリアン・ファッション導入
- [愛媛スーパーチェーン]初の量販店VCとして設立
- [イトーヨーカ堂]北千住の羊華堂洋品店が(株)ヨーカ堂に組織変更
- [主婦の店]風祭系と主婦の店系に分裂
- [ダイエー]三宮に本格的スーパーの支店設置
- [東光ストアー]チェーン化に踏み切る(大資本が初の量販店進出)
- [アオキインターナショナル]青木擴憲が長野市で個人商店「洋服の青木」を創業
- [銀座山形屋]銀座1丁目店を開設、最高級オーダーのシンボル店とする
- [三愛]西銀座デパート内に西銀座店(現・銀座本店)開店
- [フタタ]二田商店を株式会社に組織変更
アパレル産業
- キャラバンが「3点セットの取引」を開始、業界は一斉追随(参考上代・掛け率制、1都市1店主義、返品・商品交換制)
- 莫調連が丸編製品用ミシンの自主登録実施(横編、経編、布帛、既製服、被服などとの意見調整進まず)
- 莫調連が丸編機の1日8時間運転と週休制実施の自主調整を開始
- 靴下工連が靴下機の1日8時間運転と週休制実施の自主規制開始
- 靴下工連が団体法第57条命令の発動を申請(発動は翌年)
- 日本洋装雑貨振興協会設立
- 東京都布帛製品工業組合設立。各地も続く
- 団体法施行にともなって、それまでの調整組合が相次いで工業組合に名称変更
- [厚木編織]シームレスストッキング発売、1足400円
- [アシックス]生産子会社のオニツカ(株)が存続会社となり、鬼塚(株)、販売子会社の東京鬼塚(株)を合併
- [ゴールドウイン]津澤製造所が「ゴールドウイン」ブランド製品の生産開始
- [ジュン]佐々木忠が (株)ジュン設立。「ジュン」ブランド誕生
- [デサント]石本他家男がスポーツウエア製造販売の石本商店を大阪市に設立
- [ナイガイ]内外編物がニットウエア(セーター類)の生産販売を開始
- [ナルミヤ・インターナショナル]成宮織物が婦人アパレル市場に進出
- [ビッグジョン]マルオ被服がジーンズの輸入、受託生産を開始
- [福助]福助足袋がメリヤス(肌着)部門に進出
- [山喜]山喜商店が輸出部を設置、香港・シンガポールを足がかりに海外市場に進出
- [レナウン] レナウン商事が「モーニングスター・ブルー」のカラーキャンペーン実施
繊維・テキスタイル産業
- 東京綿スフ織物卸商組合設立
- 綿紡績業が政府の勧告操短を実施(~35・07)
- レーヨンSが取引所で戦後新安値164.10円
- レーヨン関係4団体がレーヨン織物の一手買上機関として、日本レーヨン織物輸出振興(株)設立
- レーヨンFメーカー6社がレーヨン糸布巻き返しのため、人絹糸布振興会設立
- レーヨンSを40%減産へ
- 全繊同盟化繊部会が再雇用条件付きで6503人の一時解雇承認
- 酒伊繊維工業(オーベックスの前身)が ポリエステル用高圧染色機を導入し、ポリエステル織物の量産化に成功
- 小松精練染工がナイロン織物加工を開始
- 新光アクリル繊維(三菱レの子会社)が三菱ボンネルに改称
- 帝国人造絹糸(帝人の前身)の松山工場がテトロン生産開始
- 東洋レが三島工場完成、テトロン生産開始
- 日本エクスラン(東洋紡の子会社)がアクリル繊維生産開始
- 菱光アセテート(三菱レの子会社)がアセテート生産開始。*菱光アセテートが三菱アセテートに改称
繊維・ファッション行政
- 通産省が綿糸生産調整(一律30%封印)を勧告
- 衆議院商工委員会が「繊維産業の不況対策に関する件」を決議(合成繊維の設備規制などで、綿紡績業界の声を反映したもの)
- 閣議が「繊維不況対策について」を決定(合成繊維設備の新増設制限など)
- 海外貿易振興会が通産省所管の特殊法人、日本貿易振興会として発足。本部を大阪から東京に移転
- 政府が輸出振興7項目の方針決定
- ポリエステル繊維が法人税免税物産に指定される
- 通産省が過剰綿織物5000平方ヤードの凍結を指示
- 閣議が繊維不況対策決定(過剰紡機7万台買上げなど)
- 通産省が織機設置制限規則公布(合繊織機は制限外として届出制に)
- 繊維総合対策懇談会設置
- 中小企業安定法に代わって中小企業団体法施行
政治・経済・社会
- ヨーロッパ経済機構(EEC=後のECの母体)発足
- 那覇市長選、民主主義擁護連絡協議会の兼次佐一当選
- インドネシアと平和条約・賠償協定調印(12年間で2億2308万ドル)
- エジプトがシリアを合併して、アラブ連合共和国成立
- インドと通商協定・円借款協定調印(初の円借款供与)
- 英・ギリシア・トルコが「キプロス独立協定」に調印。キプロス55年非常事態宣言解除
- 第4次日中民間貿易協定調印。台湾政府が抗議
- ソ連首相ブルガーニン辞任、フルシチョフ党第1書記が首相兼任
- 岸首相が衆院で在日米軍基地への攻撃は日本への侵略とみなすと答弁
- キューバでカストロ派のハバナ攻撃が始まる
- 第4次日韓全面会談開始(第3次会談決裂以来4年ぶり)
- 衆院で原水爆禁止を決議。参院でも決議
- 自社両党の合意で衆院解散(話し合い解散)
- 日英通商協定調印
- 長崎で中国国旗引きおろす事件が発生し、中国が抗議。さらに日中貿易全面停止を通告
- 中国、大躍進路線を決定
- レバノン内戦始まる
- 閣議が日中問題静観を確認
- 外国為替相場の大幅自由化措置実施
- 第22回衆院選挙(自民党勝利、社会党は議席・得票率ともに戦後最高)
- 東京・池袋の巣鴨プリズンに収容されていた392人全員釈放。建物は日本に返還されて東京拘置所になる
- 中国で人民公社運動始まる(12月末に99.1%。計2万6578社)
- 仏ドゴール内閣成立
- 第2次岸信介内閣成立
- 原子力一般協定を米・英とそれぞれ調印
- 日銀が公定歩合を戦後始めて2厘引き下げ
- 仙台高裁が平事件の原判決を破棄、擾乱罪を認めて有罪判決
- イラクで「自由将校団」がクーデターを起こして王政を打倒、共和制政権を樹立。イラク共和国となった
- イラクがアラブ連合脱退,中東動乱
- 政府がココム決定で対共産圏禁輸を大幅緩和
- 日銀が公定歩合1厘引き下げる
- 藤山・ダレス会談で安保条約改定に合意。東京で交渉開始
- アルジェリア臨時政府成立
- 「ドゴール憲法」公布、仏第5共和国発足
- 東証の出来高1億株を超える(岩戸景気と言われ始める)
- 政府が警察官職務執行法(警職法)改正案を国会に提出
- 社会党・総評を中心に65団体が警職法改悪反対国民会議を結成
- 日教組の勤評闘争、群馬・高知県で10割休暇
- 政府・与党が衆院本会議で抜き打ちに会期30日延長を強行
- 警職法改悪反対闘争が国会抜き打ち延長で激化、総評・全労・中立系労組・文化人・学生・婦人などの統一闘争に進展
- 藤山外相が安保改定交渉は国会正常化まで延長と言明
- 自民・社会両党党首が会談、警職法審議未了・衆院自然休会で了解成立
- 日ソ貿易協定調印
- 第1回全アフリカ人民会議開催
- 仏大統領にドゴール首相が当選
- 自民党反主流派3閣僚(池田勇人・三木武夫・灘尾弘吉)が岸首相の強硬姿勢に反発して辞表提出
- 米テクサス・インストルメント社、IC開発
- 経済白書の副題「景気循環の復活」
- (景気後退は12か月で終わり、第4循環上昇期に。「岩戸景気」と呼ばれ、1961年下期jまで42か月続く)