1950年(昭和25年)
ビック・トピックス
- 朝鮮戦争勃発
- 公職追放者の釈放、警察予備隊の発足、一方でレッドパージ
- 繊維業界には”ガチャマン”時代が訪れた
- 百貨店がファッションを先導し始める
- 発売後3年目のニュールックが日本で流行開始
生活・文化
- 「年齢のとなえ方に関する法律」施行(「数え歳」に代わって「満年齢」が一般化していく)
- 1000円札(聖徳太子像)発行(25億円が市中へ)
- 東京・上野のアメ屋横丁、新宿の和田組マーケットを強制撤去
- 東京都、常設露店を全面禁止
- 木炭、イモ類の統制を撤廃
- 綿製品、タバコの統制を撤廃
- 水産物の統制を撤廃
- 第1回ミス日本に山本富士子(18歳)が選ばれる
- 米以外の主食、パンなどが自由販売になる
- 東京-大阪間に特急「はと」が登場
- 東京・銀座の路上で三遊亭歌笑が米兵のジーフにひき逃げされ死亡
- 住宅金融公庫設立
- 『チャタレー夫人の恋人』(伊藤整訳)が猥褻表現で発禁(のち公判がつづく)
- 板付飛行場を中心に福岡・八幡・佐世保など6市で一斉に燈火管制(朝鮮戦争の影響)
- 味噌・醤油の統制を撤廃
- 金閣寺が放火によって全焼
- 後楽園球場で初ナイター
- 国定公園の指定が始まる、第1号は琵琶湖
- 小田急電鉄の東京・新宿〜箱根湯本間に直通電車「ロマンスカー」が運転開始
- 大阪・千日前でアルサロがオープンし大盛況(ホステスは良家の子女が多く、月給1万円)
- 学童に完全学校給食開始
- 朝日新聞記者の伊藤律架空インタビュー事件発生
- 文部省、学校での国旗掲揚と君が代斉唱をすすめる文相談話を通達
- NHK、東京TV実験局で定期実験放送開始
- 第1回日本プロ野球選手権大会(日本シリーズ)開催(毎日オリオンズ優勝)
- 民放第1号、中部日本放送創立
- 海外持ち出し外貨の限度1人25ドル
- 動物園設置ブーム
- コーヒー輸入が8年ぶりに始まる
- 国内の電話加入者が120万人に
- 女性の平均寿命が初めて60歳を超える(女性61.4歳,男性58歳)
- 人口8320万人
流行語
アルサロ、つまみ食い、いかれポンチ、一辺倒、糸へん・金へん、特需景気、エチケット、曲学阿世、「オー、ミステイク」、「わてホンマによういわんわ」、「とんでもハップン」、チラリズム、零号、BG(OLと同義)
物価
ビール125円→132円(4月)→115円(12月)、ピース(10本入り)60円→50円
ラジオ
バラエティ番組「愉快な仲間」、放送劇「三太物語」、関西喜劇番組の先駆「気まぐれショーボート」、森繁久弥のディスクジョッキー「ラジオ喫茶店」(初のDJ)
映画
「また逢う日まで」「帰郷」「暁の脱走」「執行猶予」「羅生門」「乙女の性典」「宗方姉妹」「天国への階段」「暴力の街」「醜聞」「赤い靴」「自転車泥棒」「無防備都市」「密告」「情婦マノン」「三人の妻への手紙」「白雪姫」
ヒット曲
「白い花の咲くころ」「ダンスパーティーの夜」「水色のワルツ」「夜来香」「熊祭(イヨマンテ)の夜」「星影の小径」「買物ブギ」「ベサメ・ムーチョ」「ボタンとリボン」「東京キッド」「桑港のチャイナタウン」「越後獅子の唄」「あざみの歌」「赤い靴のタンゴ」「火の鳥」「トロイカ」
著作ベストセラー
細雪(谷崎潤一郎)、潜行三千里(辻政信)、風と共に去りぬ(M・ミッチェル)、きけわだつみの声(日本戦没学生手記編集委員会編)、チャタレー夫人の恋人(ローレンス)、裸者と死者(N・メイラー)、宮本武蔵(吉川英治)、十五対一(辻政信)、帰郷(大佛次郎)、文学入門(桑原武夫)
雑誌・新聞掲載の人気著作
徳川家康(山岡荘八、北海道新聞)、新・平家物語(吉川英治、朝日新聞)、おトラさん(西川辰美、主婦之友)、自由学校(獅子文六、朝日新聞)、ジャングル大帝(手塚治虫、漫画少年)、デンスケ(横山隆一、毎日新聞)
雑誌・新聞創刊
芸術新潮、日本カメラ、女学生の友、Japan News(のちのThe Yomiuri)
ファッション
- 英文毎日主催の第2回ティナ・リーサ賞発表ファションショー開催
- 田中千代、NYのブルックリン博物館でファッションショー「十二単衣から現代まで」を開催
- 全国洋裁学校連合会発足、洋裁学校ブーム続く
- 日本染織図案家連盟が第1回展覧会開催
- カラー:パステルカラー志向(〜52年)
- ニュールック全盛(〜51年)
- アメリカンスタイル、ボールドルック続く
- アコーディオン・プリーツのスカート人気、短めのタイトスカートも流行
- ビニールのレインコート市販開始
- パッド用の裏ポケットがついたブラジャー登場
- 輸入ナイロン長靴下の再生品(いかし靴下)出回る
- ネッカチーフ流行
- カットワークの婦人用ハンカチーフ登場
- 映画「赤い靴」のヒットで、赤い靴ブーム
- 口ゴム付きメンズソックスの市販始まる
- 女性の化粧にアイメーク登場(まつ毛につや出しクリームを塗ったり目バリを描いたりする程度)
- ディオール、バーティカルライン(春夏)、オプリークライン(秋冬)発表
- 【Fジャーナリズム】スタイル社が「男子専科」を創刊、日本繊維経済研究所が繊維相場速報紙「繊研速報」(「繊研新聞」の前身)を創刊
ファッション小売業
- 百貨店の中元・歳暮セール始まる(贈答品のトップはタオル、2位はメンズソックスの3点セットで、色は紺・茶・グレー)
- 洋装店(洋裁店)の増勢続く
- 背広の職域販売広がる
- [伊勢丹]ニューレディメード・デザイン・コンクールを開催
- [大丸]下関大丸開店
- [高島屋]日本橋店屋上に子象「高子ちゃん」が登場し人気に
- [東急百貨店]東横百貨店が池袋駅西口に池袋店開店
- [丸井今井]今井商店、丸井今井に商号変更
- [丸物]京都丸物、地下食品売場で100品目のセルフサービス開始(日本初のセルフ売場誕生)
- [三越]日本橋本店が戦後業界初のファッションショー「秋と淑女」を開催(モデルは映画女優。所要経費500万円)
- [佐賀玉屋]第1回アメリカ中古衣料即売会開催
- [長崎屋]長崎屋布団店が町田店を開店(チェーン1号店)
- [タカキュー](株)高久を設立
- アソートメント(品揃え)の概念が全米のチェーンストアに普及
アパレル産業
- 東京既製服協会解散、紳士既製服と婦人子供服の2卸同業会に分かれる
- 東京洋装雑貨商組、東京・大阪・名古屋のメーカー、問屋の商品市「三都大会」を熱海で開催
- 東部カラー協会、東京ワイシャツカラー協会に改称。第1回ワイシャツ見本市を東京・繊維会館で開催
- 東京ネクタイ商工業協同組合、見本市を開催
- 日本靴下協会、全国輸出内需向靴下見本展示会を東京・大阪で開催
- 東京ハンカチーフ商同盟会結成
- 縫製産地の専門化進む(埼玉は厚地物、岡山はズボン、四国はブラウスやシャツ)
- 辻村金五が大阪・船場にメリヤス・布帛商品現金卸商の糸金商店(イトキンの前身)を創業
- 海渡(エトワール海渡の前身)が商標「エトワール(ETOILE)を制定。オリジナル商品の開発を開始
- 樫山が日本初のホフマンプレス機と特殊ミシン10台を輸入し、品質と効率の向上を実現
- 郡是製絲(グンゼの前身)が東京・大阪・京都・名古屋の各証券取引所に株式を上場
- 三陽商会が「サンヨーレインコート」発売
- 大東(ラピーヌの前身)が大阪市阿倍野区でオーダーメード婦人服店として開業
- 西田東作が富山県小矢部市で津澤メリヤス製造所(ゴールドウインの前身)を創業
- 東京縫製が東京スタイルに商号変更
- 戸賀崎繁男商店(東京ブラウスの前身)設立
- モトヤがファミリアに改称し、株式会社に改組
- 山尾被服工業(ボブソンの前身)が株式会社に法人改組され、学生服や作業着を製造販売
繊維・テキスタイル産業
- 民間貿易制移行で、商社員の海外派遣が活発化
- 朝鮮戦争勃発によって、糸へん景気(ガチャ万景気)発生。綿は特需、レーヨンは輸出が活発化
- 朝鮮戦争特需ブームに株式市場大商勢となる
- 綿糸布公定価格撤廃
- 綿花の民間貿易による買付けの第1船メキシコ綿を積載して大阪入港
- 米のナイロンが軍需用になり、生糸輸出復活
- 繊維相場暴騰、そのあと急速に反落
- レーヨンF、レーヨンF織物の公定価格廃止
- パルプ不足深刻化、入手のため北欧へ使節団出発
- 大阪化繊取引所・大阪三品取引所・東京繊維取引所・福井人絹取引所設立
- 全繊同盟、総評に加盟可決
- 倉レがビニロン生産開始
- 日窒が解散し、新日本窒素を設立
- 東洋レの滋賀工場がナイロン60d生産開始
- 日紡がビニロン生産開始。*手編み毛糸の「オリオン毛糸」を発売
- 日レがナイロン月産7トン生産開始
- 日本合繊がビニロン生産開始
- 米デュポン社、ポリエステル年産500万ポンドの試験工場建設、オーロン年産650万ポンド工業化
- 英コートールズ社、トリアセテート生産開始
- ドイツ、オランダでナイロン生産開始
繊維・ファッション行政
- 通産省、省令で衣料切符の有効期限を3か月繰り上げて3月末日とする発表(生産も順調で、輸出滞貨の放出もあることが理由)
- 通産省、「綿紡績設備復興促進に関する件」発令(設備復興に着手しない者や計画未達成者への罰則措置など)
- 民間自由貿易方式開始に伴って、綿花・原毛輸入への外貨割当制を実施
- 衣料切符制停止。ただし、綿製品だけは統制が継続され、綿製品対象の新衣料切符を発行
- ビニロン・ナイロンを重要物産免税品目に指定し、法人税を3年間免除
- 羊毛・スフ関係製品価格統制撤廃
- GHQ、綿紡・スフ紡設備400万錘の制限解除を指示
- GHQは羊毛工業の設備制限を撤廃
- 繊維局、純毛梳毛糸暴騰のため勤告価格実施
- 政府、朝鮮動乱ブームに暴利取締り対策を発表
- 特殊衣料切符を除く普通衣料切符を無制限停止(新衣料切符を発行した綿製品も停止の対象)
- 通産省、小売業者の販売登録を廃止し、卸売業者の登録制を綿織物だけにすると発表
- GHQ、化繊設備の制限解除を指示
- 純毛梳毛糸の勧告価格廃止
- 繊維局、全繊維設備の制限解除を発表(このあと新々紡が急増。26年91社640万錘、27年122社750万錘となり、設備過剰が表面化)
- 化学繊維設備届出制実施
- 繊維貿易公団解散
- 織物消費税および取引高税撤廃
- 合繊を法人税優遇重要物産に指定
- 価格査定制度廃止
政治・経済・社会
- 民間自由輸入方式実施
- マッカーサー元帥、年頭の辞で「日本国憲法は自衛権を否定せず」と言明
- コミンフォルム、日本共産党野坂参三の平和革命論を批判(以後、内部対立激化)
- イギリスが中国を承認。台湾の国府はただちにイギリスと断交
- 社会党分裂(4月に再統一)
- 財閥商号・標章使用禁止令公布
- インド共和国発足
- ブラッドレー米統合参謀本部議長ら来日、沖縄と日本の軍事基地強化を声明
- アメリカでマッカーシー旋風(アカ狩り)始まる
- GHQ、沖縄の恒久的基地建設開始を声明
- モスクワで中ソ友好同盟相互援助条約締結
- 自由党発足(民主自由党と民主党連立派が合同、吉田茂総裁)
- 池田勇人蔵相、ドッジ・デフレで「中小企業の一部倒産やむなし」と発言
- 世界平和擁護会議でストックフォルム・アピールを採択、原子力兵器の絶対禁止を求める署名が始まる(11月までに世界で5億人が署名)
- シャウプ勧告に基づく税制改正施行
- 共産党が「50年テーゼ」を発表
- マッカーサー元帥、憲法記念日の声明で、共産党の非合法化を示唆
- 吉田首相、全面講和を主張する南原繁東大総長を「曲学阿世の徒」と非難
- 外資導入法公布・施行(海外技術の導入が始まる)
- 第2回参院選挙(自由・社会両党が前進。緑風会は激減)
- マッカーサー元帥、共産党中央委員24人全員の追放を指令
- 国警本部、全国のデモ・集会を禁止
- 朝鮮戦争勃発(北朝鮮軍が北緯38度線を越えて南下、3日後には韓国の首都ソウルを占領)
- 国連軍の創設が決まり、米軍を主力とする国連軍が韓国軍を支援して参戦
- マッカーサー元帥、吉田首相宛書簡で国家警察予備隊(自衛隊の前身)の創設と海上保安庁の増員を指令。
- 日本労働組合総評議会(総評)結成(国鉄、日教組、総同盟、炭労など15組合
- GHQ、新聞社に共産党員とその同調者の追放を指示(以後、企業のレッドパージ始まる)
- 輸入自動承認制実施
- 警察予備隊令公布・施行
- 韓国政府、首都を釜山に移す
- ジェーン台風で近畿地方と北日本に大被害( 死者・行方不明者539人、全半壊家屋12万923戸)
- 北朝鮮軍が釜山と済州島を除く全地域を占領
- 米トルーマン大統領、対日講和条約を急ぐ声明を発表
- マッカーサー指揮下の国連軍が仁川への奇襲上陸に成功
- 李承晩韓国大統領がソウルに帰還
- 朝鮮戦争勃発以来3カ月間の朝鮮特需 348億円と経済安定本部が報告(特需景気発生)
- 輸入自動許可制(AA制)実施
- GHQ、日本商社の在外支店設置を承認
- 第二次シャウプ税制勧告発表
- GHQの承認を得て,戦犯該当者を除く1万人余の追放解除を発表。このあと旧軍人 3,250人も追放解除
- 韓国軍・国連軍がピョンヤンに入城
- 中国人民義勇軍、朝鮮戦争に出動、国連軍後退
- トルーマン米大統領暗殺未遂事件発生(犯人はプエルトルコの急進的ナショナリスト)
- GHQ、日本船の海外定期航路の開設を許可
- 日英通商協定成立
- 10月の鉱工業生産指数が 106.3と戦前の水準を超える(経済安定本部発表)
- 池田蔵相、米価問題について貧乏人は麦を食え」と発言し、問題化
- 中国・北朝鮮軍がピョンヤンを奪回
- 日本輸出銀行設立(1952年4月、日本輸出入銀行に改称)
- ユーザンス(期限付き輸入手形)実施
- 世界的な軍需景気によって輸出好転
- 経済白書の副題「安定成長下の日本経済」