会長挨拶
ファッションビジネス学会
会長 岡本 義行
コロナはようやく終息が見え始めましたが、ウクライナ戦争の行方は見えません。エネルギー価格の高騰だけではなく世界経済の構造はアメリカ・西欧とロシア・中国との対立の中で大きな変化を予感させます。CO2削減・環境問題、SDGs、といった深刻な課題もあります。 またDXもchat GPTの普及によって異次元の社会変革が予想されます。
本ファッションビジネス学会は「活性化5ヵ年計画」の実施途上にあります。本学会の活性化に向け、会員増や各種活動の強化に取り組んでおります。しかし、前会長の逝去にともない、本学会創設以来の 組織と運営体制を根本的見直しに取り組まざるを得なくなりました。 支部制度の検討、会員増へのさらなる対策、研究能力の向上などについて、会員各位に参加いただき議論を深めていきたいと考えております。これらのためには学会の発信能力を高めなくてはなりません。この仕組みと活動を進めてまいりましょう。
現在、2030年に向けたファッション提言を鋭意作成中です。国内市場における国内製造のアパレル製品の市場占有率は3パーセントにも達しません。製品輸出に至ってはほとんどゼロといって良い状態です。 百貨店やGMSにおけるアパレル製品の販売もかつてのような賑わいはありません。こうした状況を打開するためにも、次の時代の方向性は必要であると認識しております。
現在の円安水準、人口減少による消費市場の縮小、そして構造的な労働力不足のもとで、ファッションビジネスをどのように再構築するか、学会で正面から取り組みます。世界における人口推移は市場を決定します。インドの人口が中国の人口を超えることは予想されていますが、アフリカ諸国の人口がそれを超えることが予想されています。アジアやアフリカの市場を取り込むことが経済成長には不可欠です。
できるだけ具体的な内容の提言にしたいと考えております。まずは現在日本の課題となっている人材の高度化・専門化に対応したいと思います。進化しつつある生成AIの活用や3Dプリンターの利用も進むでしょう。アジア・アフリカ諸国のビジネスを取り込むためにもグローバルな視野を持ち感覚を有する人材を育成したいものです。また国内の製造技術をさらに進化させるための人材も供給しなくてはなりません。
ファッション産業の再生に向けた取り組みを主導できるアイディアを会員の皆様とともに最終的に練り上げたいと考えております。既に掲げましたビジョン、ファッションとファッションビジネスで心豊かな未来を創造するためのレジリエンスを形成する学会として取り組みます。
ご協力いただきますようお願いいたします。