1946年(昭和21年)
ビック・トピックス
- 極東国際軍事法廷(東京裁判)開廷
- 戦後初の総選挙(婦人参政権)
- ベビーブーム始まる(〜49年)
- タケノコ生活が続くなかで、洋裁熱が高まる
生活・文化
- 東京のヤミ市露店商5万8237人
- 食糧緊急措置令(主食供出制を強化)・隠匿物資等緊急措置令公
- 住宅難のため全国25都市で転入抑制措置を実施
- GHQが日本製ペニシリンの市販を森永製菓と萬有製薬に許可
- 旧満洲からの残留日本人の引き上げ開始
- 東京都世田谷区「米よこせ」区民大会が宮城(皇居)へデモ、赤旗が初めて坂下門をくぐる
- 皇居前の飯米獲得人民大会(食糧メーデー)に25万人が参加。GHQが「暴民デモは許さず」と警告
- 警官のサーベルが廃止になる
- GHQが放出した小麦粉で学童にコッペパン1個を配給
- 日本史の授業がスミぬり教科書で始まる
- 主食の配給1日2合1勺(約 300g)から2合5勺(約450g)に増配
- シベリアからの引き上げ始まる
- 東海道沖でマグニチュード8の「南海地震」発生(死者998人、家屋の全壊1万159戸・半壊2万3487戸)
- 食糧事情が悪化(全国各地で食糧の遅配・欠配が相次ぎ,北海道では2か月以上も欠配が続いた。大都市では1週間から10日の遅配が常態化する)
- タケノコ生活続く
- インフレ激化(小売価格は前年の6倍)
- ベビーブーム始まる(〜49年)
- 松下電器が電気炊飯器発売(日本初の安価な電気調理器具)
- 自転車の生産が再開され、年末までに全国で16万5000台
- 富士産業(現・富士重工)がスクーター「ラビット」を発売
- 婦人警察官登場
- 第1回国民体育大会開催(京阪神地区中心)
- メチルアルコール酒(バクダン)の中毒で死者・失明者が続出
- 発疹チフス、天然痘、コレラが流行(死者6880人)
流行語
焼け跡、洋モク、隠匿物資、「あ、そう」、天チャン、象徴、「朕はたらふく食っている」、公僕、愛される共産党、カムカム英語、ご名答、赤バット・青バット、オフリミット、カストリ、バクダン、赤線・青線、夜の女、パンパン、パングリッシュ、ハバハバ、ララ物資、脱脂粉乳、ノガミ(上野)、ラクチョウ(有楽町)
ファッション
- カラー:国防色、ダークカラーの無地
- 生地は粗悪なウーステッドやスフ入りサージ主体
- アメリカンスタイル流行(パッド入りのいかり肩、細いウエスト、ペプラムジャケット、ショートスカート)
- パンパンスタイル現れる
- ブラウスにキモノスリーブ、パフスリーブ流行
- 男性用ズボンを女性用に横明きに改良したズボン(スラックス)登場
- メンズにボールドルック流行
- 手編セーター、軍手、軍足出回る
- ネッカチーフ、ショルダーバッグ、ハイヒールが流行
- パーマネント復活。ヘアスタイルでは三つ編み、内巻きが流行る
Fジャーナリズム
日本繊維経済研究所(繊研新聞社の前身)発足、伊東茂平編「私のきもの」(モード・エ・モードの前身)発刊、「装苑」8月号から復刊、「婦人画報」復活、中原淳一のひまわり社が女性誌「それいゆ」創刊、花森安治と大橋鎮子が銀座8丁目に「衣裳研究所」を開設して「スタイルブック」を発刊
ファッション小売業
- 東京・池袋に木造の連鎖市場
- ヤミ市、全国に広がる(PXの生地・商品もヤミルートで流れる)
- 全国各地で商店街復活、大売り出し・誓文払い始まる
- 東京・池袋に木造の連鎖市場発足
- 神戸の三宮センター街復活(秋)
- [伊勢丹]伊勢丹従業員組合発足
- [大丸]高知大丸開店
- [高島屋]京都四条河原町に「マーケットセンター」開設
- [阪神百貨店]「阪神地下大店」が「阪神マート」の旧名に復活(戦中「マート」は敵性語として国から使用を禁止されていた)
- [丸物]京都店に丸物劇場を開設
- [三越]松山店開店(戦後初出店)
- [小松ストアー]小坂武雄(松本楼の創始者の一族)が小松商事設立、銀座で百貨店業を開始
- [エンドーチェーン]宮城県吉岡町(現・大和町吉岡)に遠藤養吉商店
- [イオン]岡田屋呉服店の七代目岡田卓也が同店の社長に就任
- [エーコー]増永利弘が心斎橋筋に「エーコー」を再興(当初はなんでも屋。古着を扱ったのが衣料販売のきっかけであり、のちにメンズショップになる)
- [ギンザのサエグサ]東京大空襲で店舗を焼失したが、チューダー様式の三角屋根の店舗に復興。オリジナル子供服をさらなる充実をはかる
- [銀座山形屋]東京・湊町の山形屋洋服店が(株)山形屋を設立
- [三愛]銀座4丁目交差点の三愛商事(食料品店)が衣料を扱い始める
- [高橋洋服店(銀座)]戦争で閉鎖されていた高橋商店を再開
アパレル産業
- メリヤス生産管理要領決定
- メリヤス第一次(7〜9月)輸出計画生産始まる(4半期ごとに第8次まで続くが、滞貨が多く、49年末には約210万ダースに達する)
- 日本莫大小統制(株)が統制会社令の廃止、閉鎖機関指定によって、全日本莫大小(株)に改称。一手に買取り、全国70の代行業者(卸商)を通じて販売する配給業務を行う
- 日本衣料品統制(株)、統制会社令の廃止、閉鎖機関指定によって、日本 衣料製品(株)に改称。足袋を除く縫製品の配給業務を行うが、配給機構として設けた日本既製服協同組合連合会(東日本、西日本、北陸、中部日本の連合組織)が私的独占を理由に、GHQから民間団体の割当を否認され、閉鎖される
- 日本既製服工業会結成
- 横山町・馬喰町に百貨店卸連盟結成
- 毛布、パラシュートなど旧軍払下品の加工品が市場に現れる
- 人絹のソックス生産が始まる
- 樫山商店(オンワード樫山の前身)が大阪・老松町に被服工場と事務所を設置(工員200人)
- GHQによる財閥解体で郡是産業(現・GSIクレオス)を分離。*郡是工業の社名を郡是製絲に復元。*宮津工場でメリヤス肌着生産開始(メリヤス肌着事業開始)
- 小杉産業(コスギの前身)が彦根工場を設立
- 三陽商会が防空壕用の暗幕で子供用雨合羽、紳士向けケインコートを製造・販売(サンヨーレインコートの実質的第1号)
- 野村商店設立(ルシアンの前身、京都)。レース・服地等繊維製品の卸売・輸出入業を再開
- 前田光商店(プロルート丸光の前身、大阪)が繊維雑貨問屋「丸光商店」に屋号変更し、戦時中に縮小していた営業を再開
- 八木通商が大阪・北浜に繊維輸入商社として創業
- 宮本雅史が大阪天王寺区でシャツの製造販売を開始(山喜の前身)
- 塚本幸一が個人事業の和江商事(ワコールの前身)を創業。アクセサリー販売を行う
繊維・テキスタイル産業
- 日本生糸輸出組合が米国に生糸輸出(民間からの生糸輸出は禁止)
- 日本輸出繊維製品協会設立
- 東亜繊維工業会を日本紡績同業会に改組
- 帝人など10繊維会社が持株会社整理委員会令による制限会社に指定される(1950年8月までに指定解除)
- 全国繊維産業労働組合同盟創立
- 全国化学繊維労働組合結成(19単産)
- GHQ、日本綿業復興に6億円の融資を許可
- 化繊工業原料入手難続く(パルプ、苛性ソーダ、二硫化炭素、硫酸、石炭・電力などが不足)
- 生地商の小泉商店が小泉(株)に商号変更(大阪・船場)
- 日窒化学工業が旭化成工業に改称
- 東京麻糸紡績が麻スフ混紡糸の製造で復興
繊維・ファッション行政
- 国際繊維調査団(テーラー調査団)来日(全国の産地を視察。調査団報告:「適正な規制下で日本の繊維生産設備能力を利用すべきである。国内はもとより深刻な世界の繊維不足も軽減できる」)
- GHQが紡績10社復元計画を許可(精紡機206万錘から367万錘へ)
- 次官会議が繊維産業再建計画委員会の設置を決定
- 閣議が「繊維産業緊急生産完遂に関する件」を決定(計画通り進まず)
- 繊維産業再建計画委員会が繊維産業3か年計画を決定(石炭、鉄鋼、綿紡など重要産業の傾斜生産方式や「繊維は生産比率を輸出60%、内需40%に」と答申)
- 閣議が「綿紡織業の生産促進に関する件」を決定(労働者不足、食糧事情悪化から、特に綿紡織業(工場)に加配米、副食、調味料など確保のため、繊維局長、農林省局長、内務省局長名で関係知事宛通達)
- 政府が「繊維産業再建3か年計画」をGHQに提出
- 物価統制令に基づく新公定価格発表(繊維品は旧価格の約10倍になるが、業者のストックの差益は国庫入とされ、日本繊維協会が事務補助に当たる)
- GHQが織物業者の手持ち生糸を輸出織物製造、絹織物小売商在庫を消費者放出指令
- 衣料品中央配給委員会設置要領、衣料品割当配給要領発表
- 商工省が綿花・綿製品を対象に「国有綿保全規則」公布
- 商工省が「繊維工業設備等の調査」(ダイバート調査)の実施を公布
- 繊維産業について各復興再建要綱発表
政治・経済・社会
- 天皇、神格否定の詔書公布(人間宣言)
- GHQが軍国主義者の公職追放と超国家主義団体27の解散を指令
- GHQが政府に公娼制度廃止を指令(娼妓を遊郭に縛りつける制度が廃止に)
- GHQが覚書で奄美大島を含む琉球列島、小笠原群島などの日本行政権を停止
- マッカーサーがGHQ民政局に憲法草案の作成を指示
- 政府が憲法改正要綱(松本試案)をGHQに提出。GHQは松本試案拒否。GHQが草案を日本政府に手交。閣議はGHQ草庵の受入を決定
- 金融緊急措置令を発令(預貯金封鎖・新旧円交換)
- 北朝鮮が金日成を首席とする臨時人民委員会設立。南朝鮮は李承晩を議長とする大韓民国代表民主議会設立
- 物価統制令公布施行
- 英チャーチル首相が「鉄のカーテン」演説(冷戦の始まり)
- 政府が憲法草案改正要綱を発表(主権在民、天皇象徴、戦争放棄を規定)
- 戦後初の総選挙(婦人参政権)。女性議員39人誕生、共産党が議会初進出
- 持株会社整理委員会令公布(財閥解体の本格的開始)
- 幣原内閣総辞職(以後、1か月の政治空白期発生)
- 琉球米軍政府のもとに琉球民政府を創設
- 経済同友会設立
- メーデーが11年ぶりに復活(第17回。宮城前広場に50万人参集)
- 極東国際軍事裁判始まる(A級戦犯28人を起訴)
- 吉田第1次内閣成立
- 労働組合法施行
- イタリアが国民投票で王制廃止、共和国宣言
- アメリカが中部太平洋のビキニ環礁で初の公開核実験実施
- 逓信省再発足
- フィリピン共和国成立
- 中国で全面的な内戦始まる(国民党軍が解放区を攻撃)
- 日本労働組合総同盟(総同盟)発足
- 経済安定本部発足、物価庁発足
- 経済団体連合会(経団連)発足
- 全日本産業別労働組合会議(産別会議)結成
- ニュールンベルグ国際軍事裁判判決、12人に絞首刑
- 第2次農地改革(小作地開放)
- 日本国憲法公布(11月3日)
- 日本商工会議所設立
- 第1次ベトナム戦争(対仏)始まる
- 閣議が傾斜生産方式を決定(石炭・鉄鋼を重点的に増産し、さらに化学化学肥料、電力の重点的な産業に資材を重点配給する)