学会の骨子

「ファッションビジネス学会綱領」骨子 「ファッション学」体系の構築をめざして

1.

ファッションビジネス学会は、
①ファッション産業やファッションビジネスにかかわる学問体系の構築
②その「創・工・商・生・育」の実務モデルおよび手段の開発
③会員の研究発表、知識の交換ならびに会員相互間および関連学会との連絡提携
を目的とする学会である。

2.

ファッション産業は、「創・工・商」と「生活」で成り立つ産業であり、その長期的発展のためには「教育」の役割が重要である。ファッションビジネス学会は、“狭義のビジネス”が意味する「商」の分野だけでなく、前記の5つの分野すべてが、21世紀にふさわしい新しい学問体系の構築と、新しい実務モデル・手段の開発を必要とする舞台であると認識する。

3.

ファッション産業やファッションビジネスにかかわる学問は、あらゆる学術(経済学、経営学、会計学、統計学、社会学などだけでなく、美学、心理学、色彩学、人体工学、造形学、消費科学、機械工学、繊維工学、高分子化学、遺伝子工学、生物学、気象学、医学、薬学、情報工学、法学、政治学、哲学などを含む)の結節点に成立する学問である。この複雑で巨大で全く新しい学問体系の構築に、“産・学の英知”を結集して取り組むのがファッションビジネス学会である。

4.

ファッション産業は、常に変化する産業である。しかも、近年は、単なるモノの変化ではなく、モノからコトへ、さらにココロや感性へと、価値観そのものが変化し、そのなかでファッションとファッションビジネスの変化も始まっている。それは「創・工・商・生・育」すべての実務モデルと手段が、進化を遂げるべき時代に差しかかっていることを示すものである。したがって、学問体系には柔軟性が求められ、実務モデルと手段には革新性が求められる。硬直性と守旧性を排除して、進化に沿った研究開発を進めていくことがファッションビジネス学会の姿勢である。

5.

日本のファッション産業は、世界に活躍するデザイナーや、その後に続く若手デザイナーの質と量でも、繊維・生地・染色・加工・関連機器・副資材などの研究開発力と技術力でも、また消費購買力の高さや、文化的・芸術的伝統の豊かさにおいても、世界に冠たる実力と土壌をもっている。それにもかかわらず、現在“宝の山で餓死しかねない”低迷に陥ってしまった。それは学の側に日本に適応した産業理論と処方箋を提供する能力が不足し、産の側にもその受け入れ体制がなかったことに原因の一端がある。ファッションビジネス学会の使命の一つは、“産学協力”によって、日本のファッション産業に活力を与える産業理論と処方箋を提供することである。

6.

しかも、日本を含む、世界のファッション産業はいま、グローバル化とエコロジー運動の波に洗われ始めている。そのなかで、日本のファッション産業に新時代にふさわしい産業理論と処方箋を提供し、あわせて日本のファッション産業が担うべき国際的役割を提唱していくことも、ファッションビジネス学会の使命である。

7.

世界の産業界は、いまやIT革命の時代に突入しており、ファッション産業もその例外ではない。IT革命は、ファッショ産業の「創・工・商・生・育」すべての分野を、新しい構造と秩序のもとに組み替えていくと予想される。したがって、それに対応処する処方箋をつくることは、ファッションビジネス学会に課せられた重大な使命である。

8.

20世紀は、生産財産業と金融産業が経済と生活を支配する時代であった。しかし、21世紀には、生活が優先され、生活財産業や生活文化産業が優位に立つ時代が到来する。その生活財産業・生活文化産業の中核を形成していくのは、ファッション産業である。なぜなら、ファッション産業は、いまや繊維アパレルや、その原料である糸・生地だけでなく、非繊維アパレル、アクセサリー、寝具、インテリア、コスメティックなどを包含して、生活財産業の主流を形成する一方、音楽、演劇、映像、美術、工芸などとともに、生活文化産業の重要な一翼を担って、両産業の結節点に位置しているからである。したがって、時代の転換を推し進める“新しい産業哲学の提唱”もまた、ファッションビジネス学会の光栄ある使命である。

9.

ファッションビジネス学会は、上記のように「創・工・商・生・育」すべての分野の研究開発者を網羅する組織であり、将来的には、壮大な「ファッション学」の確立と、「ファッション学会」への進化を標榜するものである。

10.

なお、「ファッション教育」には1.ファッション産業教育、2.ファッション生活(文化)教育、3.ファッション・アカデミズム教育の3分野がある。現在、ファッションビジネス学会の「教育」グループの研究開発活動は、ファッション産業教育分野のカリキュラムと教育手法に主眼が置かれているが、他の2分野についても、早急に同様の研究開発活動が開始されなければならない。

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